【レポート】2期生中間発表・1期生進捗報告会|プロジェクトの現在地を知る
キャンパス内のイチョウが色づきはじめた秋晴れの11月19日(日)。
東京大学弥生講堂セイホクギャラリーで《Good Life on Earth 2期生中間発表・1期生進捗発表会 》が開催されました。
プレイヤーとメンター、トヨタ・モビリティ基金の関係者らが参加した、それぞれの発表会の様子をお伝えします。
2期生中間発表会
ブラッシュアップしたアイデアを発表し、抱えている悩みを相談。
まずは2期生の中間発表会から。
海外インターンに参加中の1名を除く6名のプレイヤーが参加しました。
9月からGLEプレイヤーとしての活動をはじめた2期生は、この2か月間、
メンターとアカンパニストとのミーティングを重ねてきました。
2期生は現在、本格的に動き出す前の、目標や方向性を定めていく過程にいます。中間発表では、アイデア・ブラッシュアップの進捗を発表するとともに、それぞれが悩んでいるポイントなども相談、参加者全員でフィードバックを行いました。
発表1|落合来香さん
大学でプロダクトデザインを学ぶ落合さんは、糸つむぎの技術を応用して、服の大量廃棄問題の解決をめざすというアイデアで活動を始めたプレイヤーです。中間発表では、『私が理想とする服の世界をつくる』というテーマへアイデアを展開。参加者にとっても衣服は身近なテーマであり、ファッション性、着心地、参考事例など、様々な観点からコメントがされました。
一方で、素材についてメンターからは、
”科学的に素材を作ろうとすると実はすぐに作れてしまうかもしれない”
という指摘も。今回参加者から出た「洋服はアイデンティティに関係するもの」という視点が、今後のプロジェクトのヒントになったようです。
発表2|樋野葵さん・遥さん
外来植物と共存していく方法を探っている樋野さん姉妹。中間発表では日本における外来種の現状と、調査対象として具体的な植物を設定し、活用方法やアプローチなどを発表しました。
”一般的には忌み嫌われる外来種を「敵」として存在させないというコンセプトに魅了されている“
というトヨタ・モビリティ基金のアドバイザーから、
”効能などを考える応用の議論によって、こうした当初の崇高な狙いにブレーキがかけられることがないように“
といったコメントが寄せられました。
発表3|田中美羽さん
音で環境を捉える琵琶法師をヒントに、環境音を録音する「フィールドレコーディング」の技術を「ランドスケープエコロジー*」に応用したいと考える田中さん。
メンターからの「実際にフィールドワークをしながらアウトプットの方法を考えてみては」という提案を受けて、下北沢と、地元茨城県でさっそくフィールドレコーディングを行い、比較した結果を発表しました。
田中さんが
”得られた音のデータをどう感じるかは主観になるため一般化することが難しいが、可視化する方法や解析する方法はあるか?”
という相談を投げかけると、メンターや関係者らから、次の一歩につながるアドバイスが集まりました。
発表4|佐藤楽さん
ポイ捨てと投票を掛け合わせたプロジェクトを進める佐藤さんは、改めて自身のアイデアがめざすところを分析。実現に向けての懸念点をいくつか挙げ、参加者に相談しました。
「ゴミ箱にゴミを捨てない一定の層に対してどうしたら参加してもらえるようにできるのか?」という課題がやはり浮かび上がり、当初のアイデアを明確に持っているからこそ、どう独自性を持って社会にインパクトを与えていくか、一歩踏み込んだ議論が行われました。
発表5|中桐真珠子さん
「昆虫の培養肉」でつくる「昆虫ステーキ肉」開発に取り組もうとしている中桐さん。中間発表の場で、まさかの昆虫は苦手ということが明らかにされました。
1期生で「昆虫を丸ごと食べられる文化を作りたい」というの佐藤遙花さんとは対照的に、2期生の中桐さんは「昆虫はムリ」という人の立場から昆虫食の開発を進めます。
昆虫食が一般的になる可能性がゼロではない将来、昆虫が苦手な人にとっても食べられる肉の幅を広げることになるかもしれません。
中桐さんのプランへの見解を聞きたいと佐藤さんにマイクが回ってきましたが、”私は昆虫の姿のまま食べてほしいので・・・”と共感はなかった様子!異なる立場からとはいえ、昆虫への嫌悪感に向き合うことになる二人の今後の展開が注目されます。
1期生進捗報告会
発表|溝口元気さん・佐藤遙花さん・谷垣聡音さん・小崎里紗さん
2期生の中間発表に続けて、1期生の進捗報告会が行われました。
留学と受験で活動を休止している4名を除く4名のプレイヤーが、それぞれのプロジェクトの現在地を共有しました。
半年〜1年ほどのアイデア・ブラッシュアップ期間を経て、現在は実験やプロトタイピングを進めている1期生たち。これからアイデアを深めていく段階にある2期生の発表の後に見ると、その情報量に、よりこれまでの活動の厚みを感じました。発表内容もメンターからのアドバイスもいっそう専門的に。
進学や学業と並行してプロトタイピングや実験を重ねるプレイヤーの姿は、「好きなことだからこそ突き詰めていける」という、このプログラムのコンセプトを体現しているようでした。
まとめ
自分の中に浮かんだアイデアを形にしていく過程で、これはハードルが高いかもしれないと諦めてしまったり、どういうメリットがあるの?と言われて立ち止まってしまうこともあります。
そんなプレイヤーに、メンターからこんな言葉も贈られました。
”研究というのは意義を考え始めると、ストップしてしまうこともある。まずは、とにかくやりたいことをやってみて、新しいことを生み出してほしい”
2期生にとって、自身のプロジェクトを客観的に捉える機会であると同時に、先輩プレイヤーからの刺激を大いに受ける場となり、1期生にとっても、現在地を参加者全員で確認して次に行うことが整理された実りある報告会となりました。
2期生中間発表・1期生進捗報告会2023
日時:2023年11月19日(日)13:00〜18:00
会場:東京大学 弥生講堂セイホクギャラリー
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