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【レポート】フィールドトリップ in 京都|京都から望むLife

2024年10月26日(土)、27日(日)、Good Life on Earth(以下GLE)では「Field Trip in 京都」を実施し、プレイヤー1〜3期生、アカンパニスト、プログラム関係者ら24名が参加しました。


はじめに

GLEにおけるフィールドトリップでは、
ふだんの環境をはなれて地域の特性や産業に触れるとともに、「対話や五感を通じた体験」を通して日頃と異なる時間の流れやマインドに身を置き、あたらしい視座を得ることを目的としています。

第3回目となる今回のフィールドトリップは『京都から望むLife』をテーマに掲げ、京都大学の施設および京都の由緒ある伝統の続く場所を訪問し、京都を舞台に展開する学術や文化に触れ、またそこで活動する人たちの思いに迫りました。

■行程表

DAY1|2024年10月26日(土)
11:15 京都駅集合
12:00〜14:30 京都大学 花山天文台 見学
15:00〜16:30 京都大学総合博物館 見学
18:00〜20:00 夕食
ホテル泊
DAY2|10月27日(日)
9:00〜11:30 東寺 見学
12:00〜13:00 昼食
13:30〜15:30 堤淺吉漆店 体験
16:00 京都駅で解散

京都大学附属 花山天文台

講義:青木成一郎先生、浅井歩先生

45cm 屈折望遠鏡

1929年創立の「京都大学附属 花山(かざん)天文台」は、日本で2番目に古い大学天文台です。京都駅から車で20分ほどのアクセスしやすい場所にあり、近年は主に太陽の観測が行われています。

花山天文台では、京都大学大学院理学研究科附属天文台准教授の浅井歩先生に講義をいただくとともに、京都大学大学院理学研究科附属天文台天文普及プロジェクト室室長の青木成一郎先生のご案内で、4次元宇宙シアターで最新の宇宙像シミュレーションを体験しました。

青木先生
浅井先生

太陽物理学をご専門とする浅井先生は、大学院時代に太陽面の爆発現象「太陽フレア」の迫力と美しさに心を奪われて以来、その解析を続けられているそうで、本当に楽しそうにご自身の「好き」を追求していらっしゃる姿が印象的でした。

「ザートリウス製18cm屈折望遠鏡」

この日はあいにくの曇天で、太陽を望遠鏡で観察することは叶いませんでしたが、「45cm 屈折望遠鏡」や、現役の望遠鏡としては日本最古の「ザートリウス製18cm屈折望遠鏡」をはじめとする敷地内の施設を見学しました。

太陽の黒点のスケッチを見るプレイヤー
見学の様子

京都大学総合博物館

講義:塩瀬隆之先生

塩瀬先生

国宝や重要文化財を含む学術標本資料約260万点が収蔵されている「京都大学総合博物館」では、システム工学をご専門とする京都大学総合博物館情報発信系准教授 塩瀬隆之先生に館内をご案内いただきました。

京都大学総合博物館には、一般的な博物館と異なり、研究目的で収集されたものが収蔵されているため一見すると特徴のない貝殻なども展示されていますが、「たとえただの貝殻でも、研究の見方をすると光が差す」と塩瀬先生。
「世界の誰にも負けない研究をするには、世界の誰よりも近づくこと、誰よりも長く見ること」というアドバイスもプレイヤーやアカンパニストに響いたのではないかと思います。

講義の様子

博物館内で行われた講義は、ワークやアンケート、質疑応答を交えてのインタラクティブな形式で行われました。

数々の「問い」を投げかけられることで、メディアや教育から得る、時には科学的に正しくないものも含めた情報が自身の認識や思い込みにどのくらい影響を与えているのかを見つめ直す機会にもなりました。

東寺

説法:山田忍良先生

2日目午前の訪問先は「東寺」です。真言宗総本山教王護国寺 (東寺)の僧侶である山田忍良先生みずから境内をご案内いただき、説法の時間も設けていただくという貴重な経験をしました。

山田先生

山田先生から、仏像一体一体の成り立ちや、それぞれが表す意味などをご説明いただきながらお堂を巡ったのちに、仏教とはどういうものかお話いただくと修学旅行や観光でガイドを見ながら自分だけで回ったときとは違い、体感に近い形で仏の教えというものがしみじみと入ってくる感覚がありました。

説法の様子

「過去の人々が、仏像を見るだけで信仰するということがあまり理解できていなかったが、今回のようにお話を直接聞けるとわかりやすく入ってきた」というプレイヤーの感想を受けて、山田先生も「昨今のように観光がメインになっていても、やはりお坊さんが表に出て話をしていかなければならない」と話されていました。

山田先生に質問を投げかけるプレイヤーら

堤淺吉漆店

拭き漆体験:堤卓也氏

堤淺吉漆店4代目 堤卓也さん

2日目の午後は、明治42年から115年続く製漆屋「堤淺吉漆店」に伺い、ショップの併設された工房で、漆の木の樹液から塗料になるまでの工程を見学しました。

4代目の堤卓也さんは、漆業界が低迷する中で技術を未来に継承するため、漆が使われる機会を増やす取り組みをされています。そのひとつとして堤さんが制作されたサーフボードも見せていただきました。

さらに一同は、「拭き漆(ふきうるし)」という技法を体験。
生漆(きうるし)を摺り込んで拭き上げるだけというシンプルな技法に、プレイヤーは「伝統工芸」というイメージだった漆の世界が一気に身近になった様子。生漆のチューブをお土産に買って帰る人が続きました。

白木の箸に生漆を刷り込む「拭き漆」

この体験で作ったお箸はスタッフも自宅で愛用していますが、自然の成分でコーティングされたお箸は持つと手に馴染み、ご飯もより美味しく感じられました。

おわりに

今回の「フィールドトリップ in 京都」では、京都の地で脈々と受け継がれ、培われてきたものを生かして次の世代に繋いでいこうとされる方々の姿を、行く先々で目の当たりにしました。

花山天文台にて

1泊2日という短い日程ではありましたが、参加者一同、たくさんの応援と刺激をもらった2日間となりました。
本プログラムの趣旨に賛同いただき、ご協力くださった皆様、ありがとうございました!


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