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「具体」と子育て
子どもたちは生まれながらにして探究者であり、世界を自らの手で、目で、心で感じ取っています。
幼い子どもにとって、「今ここ」で起こるすべての出来事は驚きと発見に満ちたものです。
誰もが幼少期は身の回りのものを触ったり、匂いを嗅いだりしながら、具体的な世界に働きかけ、その意味を学んでいきます。
この具体の世界こそが、人の成長の土台であり、想像力や創造性を育む源泉です。
具体の経験が多いほど、裾野が広がり、後々の抽象度の高い思考などができるようになるのでないでしょうか。
しかし現代の教育では、こうした具体の世界を尊重するよりも、抽象度の高い文字や数字を早期に教え込むことに力が注がれています。
この傾向が、子どもの発達にどのような影響を与えるのか、改めて考える必要があるのではないでしょうか。
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ピアジェの発達段階理論
ピアジェの発達段階理論によれば、7歳から11歳頃の子どもは「具体的操作期」にあります。
この時期の子どもたちは、目に見えるものや手に触れられるものを通じて物事を理解する力を発達させます。
たとえば、砂場で遊びながら「多い」「少ない」を学び、積み木を積む中で「高い」「低い」を体験的に理解します。
この具体的な経験を通じて、彼らは自然と世界の法則や仕組みを学び、やがて抽象的な概念を扱う準備が整います。
ところが、抽象的な文字や数字を早期に教え込むことで、こうした具体的な体験が十分に積み重ねられる前に「暗記」や「正解」にばかり意識が向けられる危険性があります。
たとえば、文字を覚えることを最優先にするあまり、子どもが自然の中で泥だらけになりながら遊ぶ時間が削られている光景を目にすることがあります。
「いはいちごのい」と教えられるよりも、実際にいちごを触り、匂いを嗅ぎ、味わう経験の方が具体が中心の世界に生きている年齢では後々に経験として生きてくるでしょう。
数字を学ぶために机に向かうよりも、友だちと石ころを数えながら遊ぶ方が、具体的な体験として学びを得られるでしょう。
9歳の壁
教育現場では、子どもたちが「9歳の壁」に直面すると言われます。
この壁とは、具体的な思考から抽象的な思考への移行の過程で、多くの子どもが感じる困難です。
この時期に、無理に抽象的な知識を詰め込むことは、子どもにとって大きなストレスとなり得ます。
その結果、学ぶことそのものへの興味を失ってしまうことも少なくありません。
それよりも、具体的な体験を通じて、彼らが自然に抽象的な概念に触れられるようにする方が、長い目で見て豊かな学びに繋がるでしょう。
子どもが持つ自ら成長する力
また、モンテッソーリ教育では「子どもは自ら成長する力を持っている」という考え方に基づき、具体的な経験を通じて学ぶことが重視されています。
たとえば、ビーズを使った算数の教材や、感覚教育の道具を通じて、子どもたちは抽象的な数や形の概念を自然に理解していきます。
これは、子どもたちの発達段階に応じた教育がいかに重要であるかを示す好例と言えるでしょう。
「具体から抽象へ」という学びの順序は、子どもの成長における自然な流れです。
この流れを無視して早期に抽象的な知識を詰め込むことは、子どもたちが本来持つ柔軟な思考力や創造性を損なう危険性があります。
私たち大人は、子どもたちが自らのペースで世界を発見し、学んでいくのを見守るべきではないでしょうか。
まとめ
10歳未満の子どもにとって最も大切なのは、具体的な体験を通じて、五感をフルに使いながら学ぶことです。
それは単なる知識の習得ではなく、世界と自分をつなげるプロセスそのものです。子どもたちが感じる「驚き」や「喜び」は、彼らが生きる具体の世界から生まれます。
この世界を守り、育むことこそ、私たちが未来の世代に対して果たすべき最も重要な役割ではないでしょうか。
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