見出し画像

モジャ日記-スラムの実情-

モジャ!
ギフトフードプロジェクトバングラデシュ担当の古川しゅーとです。

今回のモジャ日記では、学校に通う子どもたちが住んでいるスラム事情についてご紹介いたします。

それでは参ります。

■バングラデシュのスラム事情■

the buisiness standard (27 July, 2022)

日本にはバングラデシュのようなスラム街が存在しないため、実際どのような実態がそこにあるのか、想像することが困難かと思います。

ボクが見てきた範囲で簡潔に説明いたしまと

・キッチン・トイレを100人以上と共有する
・トタン屋根を溶接して出来た家
・家族5人で6畳分ほどの部屋
・停電が1日に何回も起きる
・給料6000-8000円のうち、家賃は4000円
・今日の食事があるかどうかわからない
・学校に行くのではなく、物乞いをする
・スマホ、TV、冷蔵庫などの電化製品は無い

スラム街の子どもたち

かなり深刻な状況にあることを分かっていただけると思います。

バングラデシュの人口は1億6000万人。そのうち先程話したような実態のスラムに暮らす人は180万人と言われております。①

つまり、人口の約1%がスラムに暮らしており、その多くは首都ダッカに集中しております。

世界銀行の報告書②によると、

2021/2022年度(2021年7月~2022年6月)の推定貧困率は、前年度の12.5%から11.9%に低下

THE WORLD BANK報告書(2022年4月13日)

経済的に成長する過程で、所得が上がることで貧困率は下がってきていますが、絶対的貧困(1日1.9ドル未満)と言って、明らかに生活していくために物質的に足りていない状況下にある人数は現在約1900万人もいます。

つまり、その1900万人の中でも更に生活に困窮している状況の人々がスラムに暮らす人々です。

■どのようにしてスラムが出来たのか?■

実は意外かもしれませんが、首都ダッカで暮らしていた人たちが、スラムで暮らすことはほとんどありません。

経済的な発展を背景に、雇用や教育の機会を求めてダッカへ移住してくる人々や、自然災害を背景に農村地域の畑を手放した人々の流入によって出来上がった環境がスラムなんですね。

洪水の様子

Bangladesh is vulnerable to both disasters and climate change and ranked the seventh extreme disaster risk-prone country in the world as per the report from the Global Climate Risk Index 2021.

UNDP(2023年3月22日)

バングラデシュは、災害と気候変動の両方に脆弱で、世界気候リスク指数2021の報告書によると、世界で7番目に災害リスクを持つ国としてランクされています。

UNDP(2023年3月22日)

また、このような災害が毎年頻発するようになると、よりダッカへの流入が増えることが予想されます。解決すべき課題の一つです。

■スラムに来て3代目■

下の写真の家族の場合は、先代が約50年前にスラムにやって来たようで、今も3代に渡りこの家族はスラムに住み続けているようなんですね。教育機会も無かったことから収入も上がらず、貧困の連鎖は今もまだ続いています。

学校に通う子どものお父さん

現在、この家族の子どもが私たちがサポートするダッカの学校に通っています。貧困の連鎖を食い止め、次世代の子どもたちが、また同じ境遇に暮らすことのないように、アクションを起こし続けています。

■どんな課題がありますか?■

貧困の連鎖が起きる理由を上げだすとキリがありませんが、私たちが考える重要なポイントは2点です。

食事と教育です。

教育
食事

■教育と食事の重要性■

バングラデシュにおいて、教育を受けて読み書きそろばんができるようになると、働くことのできる仕事の幅が広がり就職率がグンと上がります。

ですが、教育というのは1日だけ教えて終わりというわけにはいきません。木が何十年もかけて大木になるように、時間をかけて教えていくわけです。

結果として効果が出るのに時間がかかることから『勉強なんてせず、働きなさい』と言う親がいることも事実ですし、目先の生活を守らなければならないスラムでは、生活費の確保が最優先事項なのは重々承知であります。


しかし。ここで諦めるわけにはいきません。
実態をよく観察・調査してみると。

子どもたちは日中街に出て物乞いをしたり、簡単な仕事(プラスチックの分別など)をしており、稼いでくるお金は1日の子どもたちの食費分くらいなんですね。

そこで私たちが実施していることは、子どもたちが働く時間分の食事を学校で提供し、働く必要のなくなった時間で、学校に来て教育を受けてもらうというものです。

子どもたちの親の理解も必要となるため、現地スタッフが一軒一軒スラムのお家を周り、納得していただけるように話しています。

現地パートナーのディノさん

1食当たりで考えると数十円でありますが、食事提供の対象人数が増えれば増えるほど、食費も増えますし、マネジメントコストもかかってきます。

更には世界情勢の変化によって、物価の上昇が起きている現在。決して継続することは簡単なことではありません。


この業界でよく聞くこととして開発途上国と呼ばれる国で学校を建てたけど、1年も経たずに廃墟になる。というような事例があります。

イメージ

これって現地の”日々食えない”という実情を無視して、私たちが勝手な理想を押し付けた結果、引き起こしてしまう一番やってはいけないパターンなんですね。

学校を建てることが目的ではなく
教育を受け続けることが目的です。

ひいては、その先の職を得る。
家族と子宝に恵まれる
というところまでです。


先程お話した重要なポイントである『食事・教育』

教育を受け続けるためには、”日々食えない”を解決する食事提供が、最も効果的な手段のひとつであり、『食事・教育』がセットになっていないと、まず課題の解決は不可能に近いです。

こういった実情を踏まえた上で、時間もお金もかかりますが、子どもたちが安心して未来を迎えられるようにするのは、やはり私たち大人の仕事です。

『こんな大人が居て欲しかった』と願うなら、そのかっこいい大人にボクたちがなりましょう!

日々、できることをコツコツと継続的に行っていくのみ。
いつも暖かいサポートをありがとうございます!

以上、バングラデシュのスラム事情でした。

■最後に■

10月からバングラデシュに行きます。
一緒に行く方を募集しています。

インスタ:こちらをクリック

ジワジワと集まって来ていますので、よろしければ応募要件を読んだ上で、下記のフォームから応募してみてください!


では、今回も長くなりましたが、読んでいただき有難うございます。

【出典】
①the buisiness standard(URL:https://www.tbsnews.net/bangladesh/18-lakh-people-bangladesh-live-slums-466186)

②the world bank(URL:https://thedocs.worldbank.org/en/doc/2a191d9c8a9de1a31c642cf3dfb00a74-0310062022/original/Bangladesh-Development-Update-Spring-2022.pdf

③UNDP(URL: https://www.undp.org/bangladesh/publications/climate-vulnerability-index-draft#:~:text=Bangladesh%20is%20vulnerable%20to%20both,Global%20Climate%20Risk%20Index%202021.

④ユーグレナHP
(URL: https://www.euglena.jp/times/archives/15559

■食事提供をする!■

食事提供のメンバーになろう!(リンク)

■買い物で応援■

買い物で応援!(リンク)

【学校建設&運営に関して】現在建築中の学校は3階部分までの建設が完了し(4階途中)、約75人の子どもたちが新しい学校で学んでおります。また一時的に、コロナ禍で職を失った親を持つ子供たちが避難する施設としても活用しております。


↓この記事を書いたのは↓


いいなと思ったら応援しよう!