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今週のグッドデザインを紹介します(11/11 〜11/15)

今日は、11月3週(11/11〜11/15)のとれたてグッドデザイン5点をまとめてご紹介します!



11/11 ピンセット[はじかないピンセット]

取りこぼすことなく、確実にホールドできる「はじかないピンセット」。

はじかないピンセット

受賞者によるデザイン紹介
細かいパーツを掴む工具=ピンセットですが、パーツの形状によっては「ピンッ」と弾いて無くしてしまうことがあります。本商品はピンセット先端にレーザーで特殊な加工を施し、無数の突起を造形しています。この突起により掴んだものをガッチリホールドし、弾くことなく安定した作業が可能になります。

審査委員からのコメント
実際に試してみると、ビーズのような細かくつるつるした対象物も安定して保持できた。先端部の滑り止めはレーザー加工による微細な矩形が連続するパターンとなっており、対象物を選ばずしっかりと把持できる秀逸なディティールである。また、ピンセットの持ち手と先端部は肉厚があるがバネ部は薄肉で形成されているため、把持した際のリジッド感と摘むときの柔軟性が両立している。あえてステンレスの焼入色そのままで仕上げたという外観は、道具としての所有欲も満たしてくれそうだ。金属という素材と加工技術を知り尽くしているからこそ生まれた一品であると評価された。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/23694

11/12 全自動洗濯機[日立 全自動洗濯機「ビートウォッシュ」BW-X100/X90/V100/V80series]

狭い住環境でもコンパクトに設置でき、操作や出し入れの簡易さなど使い勝手の良さにこだわった全自動洗濯機。

日立 全自動洗濯機「ビートウォッシュ」BW-X100/X90/V100/V80series

受賞者によるデザイン紹介
日本の狭い住環境や高齢化を踏まえてデザインした、国内向けのタテ型洗濯機の普及機種。従来機種の幅・奥行のままに、高さを抑えることで設置性を向上し、高齢者でも洗濯物の出し入れがしやすい使い勝手を実現。機能も従来機種から進化・省手間を図り、これからの日本における新たなスタンダードとなる価値を提供する。

審査委員からのコメント
洗濯機は存在感のある家電の一つだが、このモデルは白過ぎず優しい色調のホワイトと、きめ細かくしっとりとした質感が、空間に穏やかな印象を与える。操作部の高さを抑えたことで、高齢者にもアプローチしやすく、また、対面に洗剤や柔軟剤の投入部分を配置するなど、使い勝手への配慮をデザインの特徴としている。全体の印象に影響する操作部の表示も、色を抑える反面、フォントを大きめにすることで視認性と本体デザインとのバランスが良い。ユーザー本意のベーシック洗濯機として評価した。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/24669

11/13 消しゴム[モノナチュラル]

ホタテ貝殻などのバイオマス由来の材料を使用した消しゴム。色味はホタテ貝殻の生成り色でモノ消しゴム同等の消字力を実現。

モノナチュラル

受賞者によるデザイン紹介
日々仕事や勉強に打ち込む誠実で責任感が強い人のためのブランド「モノ(MONO)」から発売した環境配慮型消しゴム。本製品はバイオマス素材としてホタテ貝殻粉末等を使用し、当社製品として初のバイオマスマークを取得した環境配慮型の高い製品でありながら、消しゴムの代名詞的存在のモノ消しゴム同等の消字性能を実現した。

審査委員からのコメント
モノの消しゴムといえば馴染のある黒白青のカラーリングを思い浮かべるが、ナチュラルカラーにつつまれた本製品を目にすれば、その背景にあるストーリーにも自然と興味をかきたてられる。環境配慮の製品でありながら、使用感を犠牲にせず、通常のモノ消しゴムと遜色のない消え心地なのは嬉しい。この製品を通じて、ホタテ貝殻の環境負荷について興味をもち、理解を深める人たちも増えるだろう。日常使いのささやかな製品のイノベーションが、利用者の意識を変えていくきっかけになる好例である。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/21586

11/12 スニーカー[ゲルソノマ 15-50/1201A727]

廃棄予定だったエアバッグの材料を使い、耐久性を兼ね備えたアップサイクルのスニーカー。

ゲルソノマ 15-50/1201A727

受賞者によるデザイン紹介
資源を有効利用し、廃棄を削減することは社会全体で取り組むべき課題です。今回、安全性と機能性を確保するため厳しい基準が設けられているエアバッグの廃棄予定であった材料を、耐久性にフォーカスしたシューズとしてデザインしました。業界の垣根を越えての取り組みが廃棄削減以上の付加価値を生み出すことにつながりました。

審査委員からのコメント
廃棄される資材を主材として用いて、アップサイクルのプロダクトをつくることは、材料の有効利用という観点と、もう1つユーザーにモノの廃棄の現状に関心を抱かせるという点において、社会に求められるアクションと言える。ゲルソノマ15-50は、異業種の株式会社アシックスと豊田合成株式会社の2社が組むことで製品化まで至ったアップサイクルの取り組み事例。自動車の製造工程で廃棄予定だったエアバッグ用のナイロン布地を活用し、シューズのアッパー部に転用させている。作りやすさや調達のしやすさから材料を選定するのではなく、創意工夫しながら資材を活かしていくモノづくりの姿勢に対して高い評価を集めた。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/24475

11/15 書籍[Foodscape フードスケープ: 図解 食がつくる建築と風景]

食の生産工程に沿ってつくられた風景「フードスケープ」を、写真や文章で丁寧に伝え読み解く図解集。

Foodscape フードスケープ: 図解 食がつくる建築と風景

受賞者によるデザイン紹介
地形と気候に応じた食がつくる建築と風景の図解集。カレマ村のワイン、アマルフィのレモン、小豆島の醤油、多気町の日本酒等、日本とイタリア16の食の生産現場を読み解く。蓄熱する石積みの段々畑、風を呼込む櫓、光や湿気を採り入れる窓等、自然のリズムとともにある食生産と人の暮らしを取り戻す為の建築の問いと手がかり。

審査委員からのコメント
食品の生産工程に沿って作られた風景を“フードスケープ”と定義し、独自の視点から食文化と建築の関わりを伝える図解集。イタリアのワインや日本の醤油など16か所の食品産地と生産現場をフィールドワークし、収穫から加工の過程に配置された設備や建物を写真や精緻な図面でまとめた。グルメガイドや料理本をめくる機会は多いが、食品生産の現場を想うことは少ない。自然と食と人の共生関係を紐解く貴重なリソースである。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/22792

この連載では、グッドデザイン賞インスタグラムで毎日1点ずつアップしている受賞作品をまとめています。
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