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介護現場に活きたマニュアルを:新人もベテランも安心の職場づくり

介護業界では、仕事のやり方や手順をまとめたマニュアルが敬遠されることが多いようです。たとえば、「マニュアル通りの挨拶ではダメ」「スタッフの個性が大事」「利用者は一人一人違う」「作る時間がない」といった理由で、マニュアルの必要性が否定されがちです。しかし、現場で行われていることは、ベテラン職員の自己流の介護や、新人職員の不安な介護にとどまり、危うい状況と言わざるを得ません。

介護が未経験の職員にとって、事前にマニュアルで学べることは、予習をして安心して利用者に関わるためにも、教育上の効果を高め、指導の時間を短縮するためにも有益です。しかし、現場で指導できる人は限られており、指導には実力が求められます。マニュアルがないと、指導は口頭に頼りがちで、教え漏れや指導者ごとの違いから混乱が生じることもあります。

職場に本当に活きたマニュアルがあるでしょうか?
仮にあっても、数年も更新されていないのではないでしょうか?
活用されないマニュアルは、意味を成しません。利用者の状況は日々変化しており、マニュアルも毎日部分的に更新されるのが理想です。最新のマニュアルでなければ、活きたマニュアル、活用されるマニュアルを作ることが大切です。

本来であれば、管理者や介護主任が事前にマニュアルを作成すべきですが、日々の業務で時間を確保するのが難しいのが現状です。
そこで、比較的時間のある新人職員に作成を依頼しましょう。おそらく新人職員の引き継ぎメモには、これまでにさまざまな先輩から受けた口頭指導の内容が記載されているでしょう。そのメモを基にマニュアルを作成します。

作成過程では、介護主任や先輩職員の協力を得ながら、曖昧な表現を再確認し、文書として残します。内容は後で何度も更新できますので、完璧さを追求する必要はありません。
こうして、新人職員は業務手順を明確にし、マニュアル作成を通じて役割意識と職場での存在意義を感じ、自尊心を高めることができます。
そして、職員がそれぞれの言葉で「マニュアルができて助かっている」「みんなの介護を見直せて良かった」と新人職員に感謝を伝えることで、さらに良い職場環境が生まれます。
良いマニュアルは人と組織を育て、利用者に質の高い介護サービスを提供する姿勢につながります。ぜひ取り組んでみてください。

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