vol.16 大声、歌う、大笑いはどれも筋肉への刺激
久しぶりのコラムは少し難しいかもしれませんが、ぜひ最後まで読んでいただけたらと思います。
お口の周りの筋肉が緩んでいる人に大きな特徴があります。
大声を出す(はっきりと相手に伝わるように)、歌を歌う、大笑いです。声を出すことは、特に相手に伝わるようにはっきりと言葉を出すことを意識しますね。はっきりとがポイントになります。
誤嚥は、生物で直立二足歩行のヒトだけが危ないといわれているそうです。
それは、喉頭(こうとう)といわれる構造が喉の”つき当たり”にないからです。
この喉頭は、ヒトが直立二足歩行で頭を一番上にもってきたために頸部までおりてきたといわれています。
一方で、喉の突き当たりに喉頭がある赤ちゃんは、息を吸いながら授乳できるという特殊な動きができるということです。喉頭が喉の”つき当たり”にない構造は、言葉を発するというコミュニケーション能力を他の動物と比べても進化したという証です。
さらに、男性と女性では、甲状軟骨と言われる舌骨の下に位置する骨の大きさが違うそうです。
男性の声が低く、太い理由にはその構造の差が関係しています。さらに研究文献には、誤嚥性肺炎の患者さんは男性の方が多いとありました。
喉頭は、周囲の筋肉により吊り下げられていますが、男性の構造ですと、特にその喉頭の筋力が低下すると・・・オーラルフレイルの道にのってしまうことが多いということなのですね。(※オーラルフレイルについては、ご存知ですか?)
大声を出す、歌う、大笑いは、もちろんのこと、はっきりと言葉を発するということも、実はお口のあらゆる筋肉と連携して行われています。
それは目視できない筋肉も含まれています。
時々、大きな声で歌ってみてください。また思いっきり笑ってください。
筋肉への刺激だけでなく、心も刺激をうけてスッキリとします。「飲み込みにくさ」、「喉のひっかかり」に変化が生まれると尚嬉しいですね。
参考文献:
口腔からウェルエイジング 阿部伸一 著 クインテッセンス株式会社
鼻呼吸 歯医者さんの知りたいところがまるわかり 鼻と口の呼吸で何が違う? なぜ違う? 今井一彰 著 クインテッセンス出版社
様々な患者さんのあらゆる習慣を伺いながら、一口腔単位で見続ける院長の元に働き、お口全体を使うことの大切さを学びました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
基本は、毎日の診療の積み重ね。時々、他の活動も行っています。
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