酒とお前と自暴自棄
最短の快楽を酒しか知らされない時期が私にもあった。貴方たちはどうだろうか。
1週間の幽閉を終えてようやく現世に帰って来れた私は、最短の快楽を酒のみで終えた。あり得ないほどに生きる元気の湧かない幽閉から逃れられて、全身が心地よさと安心を求めていた。
荒んでズタズタの心に染みてきたのは一杯の酒とお前だった。
酒を飲んでは人生への不安をぶちまけて、宥めてもらうだけの流れにある種の心地よさを感じてしまっては、もう逃れられない。元から人を信用できず、信じられず、心を預けられない私にはお前は酒のつまみに都合の良い存在だった。
そいつに頼ってる時間だけは目の前にいるお前を心から信じられたし、不安を打ち明けられた。
でも、それも、終わるんだよ。
私が一度犯した重たい過ちに、お前を対応させ切れなかったんだ。
こんなの、対応力がないお前が悪いなんて言えやしない。そんな身勝手なこと言えるなら、人のことをちゃんと馬鹿にして、下に見て、心の拠り所を作れている。
相手を責め切れない私は、その苦しみから逃れるために、酒に手を染め始めるのに、時間は要らなかった。
その瞬間だけは全てが許されて、誰も私に石を投げずに、ただ楽しい時間だけが流れていく。昼に起きて夕方飲みにいく生活を続けていたらだんだんお酒に弱くなって、グラグラになるまでの杯数がどんどん下がっていった。
そんなことになっても、飲むのをやめない私はいつしか、自暴自棄になるのをやめなさいと諭される日が増えた。これでしか自分の慰め方を知らず、これでしか相手へ危険信号を出せない私は、自暴自棄を知りながら自暴自棄が分からなかった。
自分が楽になる方法を知らず、なるべく苦しむ方向に自分を持っていくのが異様に上手かった。セルフネグレクトだろうか。
お前は私にもっと楽になっていいと、幸せになっていいとお前は言うが、周りはそれを許さないと思う。自分がいい立場に立てば立つほど、周りの風当たりは強くなって、それなら弱くて不幸せなふりをした方が石を投げられなくて幸せなのかと思っていた。
実際は逆だった。
ただ情緒が不安定で、弱くて面倒で、酒とお前だけを欲する屍になってしまっている。現状はそうだろう?
幸せと健康とは程遠いところに堕ちてしまい、情緒もおかしく、酒を飲んでいる時しか人の形を保てない。
そんな私に、酒の次の依存先は、突っ立ってnoteを読んでいるそこのお前だった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?