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浪漫を語るわたしはサッカーの話ができない

わたしはここで、拙いながら日記のようなエッセイのようなものを書いている。
そんな中、前回書いた記事を、ありがたくもたくさんの方に読んでいただいた。感謝してもしきれない。お読みいただいたみなさま、ありがとうございます。

(Xでたくさんの方に拡散いただきました。ありがとうございました。)

サッカー界隈のことにはあまり詳しくはないのだが、サッカーを語る時にはよく戦術の話やシステムの話が語られる。
わたしのように、サッカーを題材にしながら、全くサッカーを語らないのは、珍しいのかもしれない。
(なにせ、サッカーを見に行った話でサッカーの話は全くしていないのだ。)

わたしはサッカーを戦術やシステムで語れない。
わたしにとってのサッカーは浪漫だ。

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一応、「今日はミラーゲームかぁ。」とか、それっぽいことはわかる。ただし、「今日のフォーメーションだとわりと優位で、サイドバックが自由になりやすいから〜」と聞いても、「そうなんだぁ…」と思う。
「〜うまくズレがつくれました。」というインタビュー記事を読んでも、「そうなんだぁ…」と思う。

夫は色々と解説してくれるのだが、選手がそれぞれ工夫して、システマチックに守備や攻撃をしていることしか分からない。「林陵平が解説してくれているから、しっかり聞きなさい。」と言われる。そして、「そうなんだぁ…」と思う。

どうにもわたしは、サッカーから、浪漫ばかり抽出しているらしい。

城福監督が、「あと一歩詰める」と言っていた。
なるほど、最近の守備はとてもいい感じ。城福監督・コーチ一丸となって、選手たちは、目を三角にして、頭から湯気を出して取り組んできたんだろう。
さらにすごく、頭を使って、複雑な戦術を駆使している。相手によって変わる守備が美しい。これがチームが成熟してきたということか…。
なんて思いながら、わたしの感想は「美しい、気持ちのこもった守備!!」となる。
そして、頑張って取り組んできたからこその結果にばかり心を囚われて、「気持ちのこもった熱いプレイ、大好き!!」に終始してしまう。我ながらなんてバカなんだろう…と思うのだが、そこから、「わたしも頑張ろう」と人生への活力を抽出するのだから、わたしにとっては大事なことだ。

もう少し、システムのことを分かりたいな、とは思うし、現地で見た後にも必ず一回はDAZNで試合を見返す。いろんな「そうなんだぁ…」を経るのだか、どうにも、浪漫の抽出が止まらない。

染野の、身体を張った献身的なプレイは素晴らしく、画面越しに泣きそうになる。ポストに弾かれた時には一緒に頭を抱えた。今日は特にいい気がする、とか思う。しかし、何がどうしてそう感じるのかは分からない。とにかく染野は素晴らしい。

千田のラインコントロールが好きだ。勇気を持ってラインを下げずにいてくれるからコンパクトにサッカーできているのだろう…なんて聞き齧った知識で思う。しかし、わたしが確かに分かるのは、戦う男の背中だけ。

苦しい時に森田が奪ってくれたボールに心奪われた。クールな表情とは打って変わって熱いプレーや、そんな小技…惚れてまうやろ!みたいなプレーが大好物だ。そして、審判との話し合いには必ず駆けつけるキャプテンマークは頼もしい。わたしのユニフォームの背中にも7番が輝いている。

(こんなことを語り続けたら告白大会になってしまう…。)

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しかしながらわたしは、どんな素晴らしいプレーも、戦術も、わたしの人生の後押しみたいに捉えてしまう。
もちろん比べようがない。サッカーに愛された以上に、サッカーを愛し、どんな時も食らいつき、それでも選ばれし者しか立てないフィールドに立っている彼らだ。その努力も苦労もわたしには想像もつかない。

それでも、身体を張って、頭をフル回転させ、視野を広く持って、とにかくその試合に向けての努力を怠らずに準備をしてきた彼らを見るたびに、その背中を押す一端を担わせてもらうたびに、心をうたれ、「わたしも頑張ろう」と思う。

試合で活躍する彼らの成長の裏には、試合に出ていない、直接声援を受ける機会の少ない選手たちの頑張りと成長があるのだという。試合に出ていなくても、この強さの裏には選手全員がいる。それから選手を支える監督をはじめ、たくさんのチームスタッフのみなさんや、試合当日を取り仕切る運営のみなさん、警備の方やボランティアスタッフ。サポートをしてくれる企業様や市町村。それから、早くに集まり会場を準備してくれるサポーターの方々…。たくさんの人たちがひとつひとつの試合をつくっているのだ。
私たちの日々の営みひとつひとつ、どんな仕事も生活も、誰かを助け、誰かの生活を守り、潤いとなっているのだから、サッカーもまた、それ自体が雄弁に人生を語っているかもしれない。

そして、思うのだ、東京ヴェルディのサッカーには浪漫がある、と。


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