何者かになりたかった話
深夜、暗い部屋の中でアイロンをかけている。
リビングの灯りは全て消したが、隣り合ったキッチンの照明だけはつけているので、ほんのりと明るい。皺がしっかりと伸びたかはわからないが、小学校で使う上履き袋やナフキンのアイロン掛けなので、そこまで問題はない。一見して清潔感があればそれでいい。
隣り合った寝室では夫が寝息を立てている。今朝早くに家を出て仕事をしていたので、早くに眠気がきたよつだ。先程テレビを見ながらうたた寝をしたいた夫は、気持ちを奮い立たせてうたた寝をやめ、早くに布団に