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あがり症

中学生の時、あがり症ゆえにブラスバンドのソロで忘れ難い大失敗をした。
いい経験したと思えばいいと言ってくれる人もいるけれど、ささやかなものでも成功体験があってからの失敗ならまだしも、歩き始めの大失敗はありがたいとは思えない。
あがり症エピソードはそれだけではなく、結果、緊張すると思われる場面は回避して生きるようになった。
時には未知のことに挑戦したり、人前でカッコいいところを見せたいと思うのが人ってもんだが、ちょっとあがり症が強すぎてそんな未来はないだろうと思う。
その分、妄想が拡張しているかも知れない。

あがり症って、想像できる限りの失敗を緊張状態で現実にする性質だと思う。
なぜか、成功イメージが弱く、失敗に引き寄せられてしまう。
例えばソロを失敗した時、私はすごく練習したし、譜面だって指使いだって丸暗記していた。
頭や体に叩き込んでいた。
それが飛ぶ。
しかし、そこまで覚えたものが飛ぶわけなくない?
緊張することで、その記憶にアクセスできないという状態を自ら作り出していた。
あがり症は自作自演の悪夢の現出。
緊張で失敗する時、同時に成功する力も自分の中にある。

私のあがり症って本当に馬鹿げている。
私はルービックキューブのサンプルを街で見つけると6面揃える事にしていて、その時、周りに誰もいなくても確実に緊張する。
そして大概最後の2工程くらいで手順が飛ぶ。家ではできていることなのに。
以前はできずじまいだったこともあったけれど、徐々に迷っても何とか軌道修正して揃えられるようになった。かも。

今日も街のおもちゃ屋でルービックキューブを見つけた。近くで親子が遊んでいたから、少し離れて回し始める。
初め親子は他のおもちゃに夢中で私のことは気にしていなかったが、いつも緊張し始める終盤に差し掛かると、親子の親の方が私の様子を気にし出した気配があった。
終盤&注目で完璧に緊張するシチュエーション。
さりげに心臓がバクバクし出して、手順が飛びそうだ。間違えそうになる。
冷静な自分とあがり症の自分のバトル。
くそ!飛ぶな!落ち着け!できるはずだ!
そして…、今日も無事緊張に打ち勝ち6面揃え終える。
そっと置いて帰ろうとしたら、となりにいた親子の親の方が子供に向かって「スゲー!このお姉さん6面揃えちゃったよ!」と言ってルービックキューブを手に取ると、子供も一緒になってそれを眺めていた。
見知らぬ人が喜んでくれたようなのがちょっと嬉しくなって、私も、やった〜!つって拳を軽くあげてみたりした。

こんなことで緊張と戦わなければならない私の、あがり症まちなかルービックチャレンジ。

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