第12回 日本の幼稚園
2007年春、4歳で帰国した息子は幼稚園に通い始めた。入園までの期間が短かったので私は準備に追われた。とにかく持ち物が多く、その全てに名前を書かなくてはいけない。中でもおはじき一個一個に名前を書く作業は骨が折れた。
日本の幼稚園は帰宅時間が早く、行ったと思ったら帰ってくる!プリスクール時代は9時間位は自分の時間があったし、昼食とおやつまで出してくれるのでつくづく楽だったなぁと振り返った。日本のお母さんはキャラ弁まで作れたりするので、本当にレベルが高いと思う。アメリカでは子供に持たせるランチは、簡単なサンドイッチとフルーツが定番だ。
通い始めの頃息子はかなり戸惑っていた。大勢の日本人の子供達に囲まれている状況が初めてだったし、彼らの話す内容が完全には理解出来なかったのだ。家で一人で遊んでいる時の独り言は英語だった。親子遠足で動物園に行った時、息子はペンギンを見て「ママ、penguinだよ」と英語発音になっていて周りの子たちに不思議そうな目で見られていた。
ある時息子は私に質問した。「どうして〇〇(自分)はアメリカで産まれたのに日本に来たの?」と。息子は物心ついた時にはアメリカにいたので、アメリカで産まれたと思っていたらしい。そこで私は、アルバムを見せながら懇切丁寧に息子の生い立ちを説明した。「そうだったんだー」と納得してくれた。 笑
息子が通っていた幼稚園は仏教系だったので、入園時に数珠を購入した。ちょっと前までアメリカのプリスクールで、胸に手を当ててアメリカ国家を歌っていたのに今は数珠を手に仏様に拝んでいるなんて、なんだかおかしかった。2ヶ月が過ぎた頃にはすっかり日本語が上手になり、英語が口から出てくることはなくなっていた。