これから円高になるの? 161円だったのに、円高になったのはなぜ?
この図は、米国10年国債の金利とドル円との関係を示す散布図です。
「今年1月から5月6日まで」>「5月7日から6月11日まで」>「6月12日から7月17日」>「7月18日から8月22日現在まで」を色分けして示しています。
先ず「今年1月から5月6日まで」に注目してみます。
金利が上昇すると、比例して円安になる傾向があり、例えば、金利が4.7%になると、ドル円は155円を超える円安になっています。
オレンジ色の「②:5月7日から6月11日まで」を経て、緑色の「③:6月12日から7月17日」になると、金利と円ドルの相関関係から外れて行きます。
その後、水色の「④:7月18日から8月22日現在まで」になると、相関関係が復活して、金利が下がるにつれて、円高が進んでいます。
同じ金利で見てみると、
「①:今年1月から5月6日まで」と「③:6月12日から7月17日」では10円も円安になっています。
約10円の円安が進んだ背景は、
為替ディーラーが、なかなか金融緩和のスタンスを変えないのを見て、「日銀がゼロ金利を続けるならば、円キャリー取引がもっと増えていく」「だとすると、もっと円は安くなる」と考えたからだと思われます。
日銀がようやく16年ぶりに金利を上げると、161円まで進んだ円安は治まりました。
その後、米国金利が低下して(青い矢印)、円は150円を切るレベルになっています。
同じ金利レベルで見ると、10円の円安が進んだけれども(グレーの矢印)、現在の145円のレベルは、元のレベルに戻ったわけではなく、まだ2~3円の円安が残っている(赤の両矢印)と見ることができます。
今後の円相場
さて、今後の円相場はどうなるのでしょうか。
このグラフは1994年から現在までの「米国10年国債金利(水色)」と「米国政策金利FFレート(紫)」の推移を重ねたものです。FF金利はFRBが上げたり下げたりしている一方、10年金利はゆるやかに低下してゆく傾向です。
現在、インフレが収まりつつあるので、今後はFRBがFF金利を下げていくことは確実です。
下げていった時に、10年金利がどれくらいのレベルになるかがわかれば、その10年金利に円相場は比例しているので、今後の円ドルが予想できるはずです。
今後FF金利が下がった時に、2003年頃(①緑)のようになるのか、それとも2010~2015年頃(②オレンジ)のようになるか、2つの可能性があります。
2003年頃(①緑)のようであれば、10年金利は4%台なので、円ドルは150円前後になると予想され、
2010~2015年頃(②オレンジ)のようになれば、10年金利は2%弱なので、円ドルは120円くらいになると予想されます。
下の図は1970年から現在までの「10年金利」と「消費者物価指数(CPI)」を重ねたグラフです。
①緑の時期は、消費者物価指数が2%を超えており、ややインフレだったのに対し、②オレンジの時期は2%を割っており、ややデフレ気味でした。
②オレンジの時期は、(1)原油が一時36ドルと安かった(2)ネット販売が普及し商品をより安く手に入れることができるようになっていった(3)中国からの商品の輸入が増えていった、という要因によって消費者物価指数が低くなっていました。
以上のような認識の元、今後、①緑になるか、②オレンジになるかを予想します。
今後は(1)(2)(3)のようなデフレ要因は期待できず、むしろ(4)グローバル化の巻き戻し(デカップリング)が進む(5)割高な再生可能エネルギーの比率が増える、でしょう。よって、①緑のようになる可能性が高く、円相場は150円になる可能性が高いと予想できます。
予想を表にまとめると、下のようになります。
5年後?の円相場が『170円の可能性もある』としている点について補足すると、
今後ふたたび、為替ディーラーから日銀への利上げの催促が行われ、円安が進む可能性があると予想しているからです。いずれ「③:6月12日から7月17日」のようなことが起こり、170円の円安もあり得るとみているということです。
最後まで読んでいただいて、感謝します。ありがとうございます。