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30年ぶりに好きだった絵本をガチで読む

「これも読みたい」
図書館で長男が手にしていたのは、遠い記憶で私が好きだった絵本。
“にじいろのさかな”
夜寝る前に読む約束をして、選んだ本達を借りて帰宅した。
自分が読んでもらっていた本を今度は息子に読み聞かせる日がくるとは...なんだか嬉しい。


あとは寝るだけの状態になり、ベッドに入る。
私にとっては30年ぶり、長男にとっては初めて、授乳されほぼ寝ている次男にとっては何のこっちゃな絵本“にじいろのさかな”を読んだ。

長男「キラキラだねぇ」
まずは表紙を見てご満悦。
息子よ、分かるぞ。やはりこの絵本はまず鱗のキラキラが良いよね!と思いながら、読み進めていく。

絵本の内容としては、
〚孤立していた主人公(にじうお)が自分のキラキラ鱗を周りに分け与えて、仲良くなり、皆と嬉しい気持ちを共有できて幸せだね♡〛
みたいなものだった記憶がある。

だいたいの内容は合っていたが、私の記憶からは抜けていて、驚いた場面が出てきた。
キラキラ鱗をどうしても欲しい青い魚が、にじうおに「1枚欲しい」と頼むも断られてしまうページ。

「ぼくの この とくべつな うろこを くれだって?いったい だれさまの つもりなんだ?」
 にじうおは さけんだ。
「とっとと あっちへ いけ!」
 びっくりして,あおい さかなは およぎきった。
どう して いいか わからず,ともだち みんなに その はなしを して まわった。それからは,だれひとり にじうおに かかわりあおうとは しなく なった。
にじうおが くると,みんな そっぽを むく。

著:マーカス・フィスター/翻訳:谷川俊太郎
にじいろのさかな より

あげたくない主人公 VS 欲しい青い魚

にじうおの言い方もなかなか強いが、注目は断られたあとに青い魚がとった行動。
友達みんなに鱗をもらえなった話を、わざわざ言って回ったようだ。
しかもその事が原因で、にじうおは皆に無視されてしまう。

私は思った。〚そりゃないよ、青い魚〛

“どうしていいのか分からず”とあるので、悪意はなさそうだ。

にじうおは元々周りと距離を取っていたので、そもそも青い魚は友達ではない。

友達でもない魚にいきなり大切な鱗が欲しいと言われ、断ったらこの仕打ち...絵本の流れとしては、全てにじうおが悪かったかのように描かれ、相談しに行ったタコの長老には鱗を皆に配るよう促される。

長男「キラキラだねぇ」(2回目)

息子よ、ごめん。母はもうキラキラよりモヤモヤが勝っている。

謝らない青い魚 VS 謝って欲しい私

読み進めると更に私をモヤモヤさせる場面が出てきた。
完全に孤立してしまったにじうおと青い魚が再会する。
そして、注目の第一声...

「にじうお, たのむから おこらないでね。ちっちゃな うろこ 1まいだけで いいんだ。」

著:マーカス・フィスター/翻訳:谷川俊太郎
にじいろのさかな より

ここまでくると、もはやアッパレ!
謝罪もなくまだ鱗を欲しがっている。
しかも先に“怒らないで”と言う事によって、にじうおを断りにくくする予防線まで張っている。
もしかしたら、青い魚はとんでもない世渡り上手なのかもしれない。

〚青い魚に謝って欲しい〛

私は心からそう思った。
もう完全に、にじうお側の人間だ。


わかったこと

物語は、にじうおが再会した青い魚に鱗をあげたことをキッカケに、他の魚達も欲しがり、にじうおは皆に大切な鱗を配っていく。

最後は、にじうお自身の鱗は1枚になるが、友達ができて嬉しそうなにじうおが、皆の方へ泳いでいく姿で終わった。

読み終わって、長男に感想を聞いてみた。
「おもしろかった。キラキラまた見たい」
そう。子供は絵本の絵を楽しんでいる。
かつてキラキラの鱗が好きだった私のように。

だが、母になり読み聞かせる側になった今の私は違う。
どうしても文字を追ってしまう。
そして、親目線で物語を読んでしまう。

不器用な主人公“にじうお”と長男が重なって、
〚もっと自分を大事にして欲しい〛
〚他に仲良くなる方法があったのでは?〛
〚ウチの子に青い魚並のコミュ力があれば...〛

両隣でグーグー眠る息子達の間で、私はモヤモヤしたまま眠れなくなった。

長男に「また読んでね」と言われたが、もうどんな気持ちで読んでいいか分からない。

子供の頃好きだった絵本をガチで読んだら、ガチガチの親フィルターがかかってしまい、公平な立場で読めなくなってしまう事を学んだ。


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