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THRILLER EPISODE:06

THRILLS ARE……HOSPITAL LIFE
入院生活のスリル=人間関係の軋轢地獄に
***
精神科に幽閉されて、症状が改善された患者は少ないと聞く。
特に僕は4回入院して4回とも悪化して、逃げるように退院した口だ。
確かに施錠された閉鎖空間で自死を図ることは難しい。
しかしながら、洗剤服毒をして気管支炎/喘息を患った患者を知っているし
中継階段から意図的に転落事故を起こして複雑骨折した患者も知っている。
極大なダメージを身体に与えることは案外容易な観察病棟の一端。
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悲しいかな20代半ばから療養禁煙している僕は、
喫煙所と言う患者同士の社交場に出入りすることは無く
喫煙所のBOSSに「岩永ハブろうぜ」伝令を流されたことがある。
BOSSグループにハブられる前に察知できたのは……
正直に話してくれた信頼に足る仲間のお陰だったが
僕以外にも伝令が飛び交っているのならば、許すまじ事態だ。
冒頭に精神科の入院は、
症状が安定しない/改善しない類いのことを記載したが
談合と言うか、示し合わせてハメる輩とか存在するから面倒くさい。
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古参であり腐れ縁の男性患者が、入院2年目を迎えているのは
朝昼晩の過ごし方が下手だからだ。
朝が特に難敵らしく、朝食配膳に間に合わないから
職員の印象/心象に悪影響で、内申点が上がって来ない。
おまけに彼は、自分を護るための嘘が上手なので
ついつい口先の芸に頼りがちで、バレた時に大きな雷を落とされる。
***
ハブ戦法を阻止してくれたのは、入院6年目の友達。
彼女は保護者である母親と折り合いがつかないので
病状が安定していても、社会の受け皿が無く、退院出来ない。
同じ状況の男性患者は両親を恨みながらも
独立世帯の生活保護受給を勝ち取って退院して行った。
決別する、生活保護受給を勝ち取れば彼女にも活路が?
お気楽に申請が通るなら、誰も長期入院なんて強いられない。
(入院生活)6年間と言う長い長い歳月は、
小学校の最下級生が卒業の準備をする程の時間が流れる。
社会の受け皿は自分で用意すべきだろうか? 幻の7年目を回避せよ!

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