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ひとの心(ツバキとサザンカと『家栽の人』)

 花や植物を見たり、写真を撮るのは好きなのですが、まったく詳しくありません。「きれいだ」→「パシャリ」といった感じで終わってしまい、知識が増えることはありません。その分、人が見過ごしてしまいがちな道端にある美しさには、よく気づくと思うのですが・・・。
 そんな私でも、冬によく見かける赤い少し大きめの花、というのが、ツバキかサザンカのどちらかだというのは覚えていて、つい先日、2種類の似た花を見かけたので、スマホで撮りました。でも、さて、どちらがツバキでどちらがサザンカだったか・・・。そこで、教科書を取り出すことにしました。そう、『家栽の人』です(?)

 心に寄り添い、本質を見抜くことに長けた家庭裁判所の桑田判事が主人公のこの漫画は、当時とても大好きで、単行本を全部買いそろえ、その後、電子書籍でも購入していました。
 調べてみると、第7巻の「CASE6:サザンカ」に答えは載っていました。

 ツバキは花ごと落ちるけれども、サザンカは花びらが1枚ごとに散る

ということでした。そうすると、花の下にあった花びらの落ち方から、冒頭の写真は、左側がツバキで、右側がサザンカということになります。(ご存知の方、もし違っていたら、お教えください。)
 桑田判事は、サザンカをバラバラになるしかない家族に例えて、家庭裁判所調査官に、調停当事者の母と息子ををサザンカのようにバラバラになるしかないものとして諦めてしまうのか、と問いかけます。

 今読んでも、心を動かさせる良い漫画だと思いました。そして、発行日を見てびっくりしました。1992年でした。約30年前に書かれたものですが、古さを感じさせません。
 でも、これは考えてみれば当たり前かもしれません。ひとの心の問題は、普遍的で、だからこそ、徒然草を始め、古典が読み継がれるのでしょう。

 ひとの心について書かれたものは、学術的なものから小説まで枚挙に暇がありません。それでも、今後も「スパッと解決」というものは現れない気がします。そして、それで良いとも思えます。悩む故にひとである、と考えるのです。

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