クロスオーバー(『キャットストリート』を読んで)
note には、書くことと読むことが好きな人がたくさん集まっていると思いますが、この「#創作大賞感想」は、自分の「推し」の作品を皆さんに発信できる、とてもありがたい機会です。
つい最近、東京都知事選が行われましたが、言ってみれば、これは note という場を借りて、選挙カーの上で応援演説できるということです。
それとも、今まさに行われている米大統領選で endorsement (公的に支持を表明すること) をする、といった感じでしょうか。
とにかく、一人の候補者を、いや、一本の応募作品を、勝手に応援しようと思い立ちました。
自分も応募をした「#オールカテゴリ部門」が気になったので「検索→読む」を繰り返していると、数度目の検索の際「パッ」と目に入ってきたのが、銀騎士カートさんの『キャットストリート』だったのです。
作品は、次のように始まります。
私はあまりファッションに詳しくないので、「ウラハラ」自体がピンと来ませんでした。
(マンガ『銀魂』の蒲原商店かな?)
などと的外れなことをボンヤリと考えていたのですが、少し経ってから時差で
(ああ、裏原宿のことか)
と分かりました。
本題からは逸れますが、調べてみると「キャットストリート」は、旧渋谷川遊歩道路の愛称で、その名称の由来には諸説あるのだということです。
「諸説ある」というのは、いろいろと想像できていいですね!
このように、冒頭で実在する場所について語られるので、
(エッセイ的なものかな)
と想像しながら読み進めたのですが、そうではありませんでした。
主人公が子供で、他の子も出てきて「物語」っぽいと感じながらも、
(いや待てよ、主人公は『カート君』だから、やっぱりエッセイ!?)
と自分にツッコミを入れます。
戦争についても語られるので「小説」と思いきや、
(でも、普通の小説よりもファンタジー要素が強いぞ。いや、でも・・・)
と、話に引き込まれながらも、もう1人の自分 (左脳) は、いろいろと「キャットストリート」を1つの枠に押し込めようとするのです。
でも、そんな「もう1人の自分」を翻弄して、ジャンルの垣根をひょいっと越えていく、それがこの作品だと思います。
無理に越そう、というのではなく、本当に猫のように、サッと何かを飛び越えたり、小さい隙間からスッと出たり入ったり、軽快です。
もちろん、王道的な小説も好んで読むのですが、私はこういう、ジャンルを超えた軽やかな作品が好きなんだな、と改めて感じました。
「クロスオーバー」は、音楽を中心に、いろいろな要素が融合したもの、という意味です。読後に左脳がまとめた言葉が、これでした。
まだ読まれていない方は、是非読んでみてください。
オススメです!