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【論文解説】私たちはどのような時に物を買いやすくなるのか?(COVID-19,増税)
こんにちは、ライフバランスラボです!
あなたはどのような時に物を買ってしまいますか?
今回は、世の中の状況と私たちの購買欲求の関係についての論文を解説したいと思います。
目安時間:約15分
パンデミックは消費行動にどのような影響を与えるのか?
このセクションは、COVID-19パンデミック中の心理的要因が消費者行動に与える影響に焦点を当てています。特に、不安、恐怖、ストレス、うつ病、経済的安定性などの心理的要因が消費者の行動や購買習慣にどのように影響するかについての洞察を提供します。
このセクションを読むメリットは以下の通りです。
パンデミックが人々の心理状態にどのような影響を与えたか、そしてそれが消費行動にどう影響したかを理解できます。
心理的な要因が個人の購買決定にどのように影響を及ぼすかについての知見が得られます。
経済的安定性や自己正当化の戦略が消費者行動に与える影響について学べます。
このセクションは、消費行動、心理学、またはパンデミックが私たちの日常生活にどのような影響を与えたかに興味がある人にとって特に有益です。また、このような状況における消費者の心理と行動についての理解を深めるための基礎知識を提供します。
実験の概要
この研究では、COVID-19パンデミック期間中の消費者行動と心理的要因に関する包括的な調査が行われました。イタリアでのロックダウン期間中に3833人の参加者を対象に、オンラインアンケートを通じてデータ収集が行われました。アンケートでは、必需品(食品、衛生用品など)と非必需品(娯楽製品など)への消費行動、個人の不安、恐怖、ストレス、うつ病状態、自己正当化戦略、性格特性、経済的安定感についての質問が含まれていました。
実験結果のまとめ
実験結果は、ロックダウン中の消費支出が平均で60.48%増加したことを示しています。特に、必需品への支出は平均で90.69%増加し、非必需品は36.11%増加しました。
必需品への消費行動は、不安やCOVID-19に関連する恐怖によって予測されました。一方で、非必需品への消費行動はうつ状態によって予測されました。
また、消費行動には個性特性や経済的安定感、自己正当化戦略も影響を与えていました。
興味深いポイント
論文で特に興味深いのは、以下の点です。
パンデミック中、人々は必需品と非必需品の購入行動が異なることが分かりました。不安やCOVID-19に関連する恐怖が高まると、必需品への消費行動が増加することが示されました。一方で、非必需品に対する消費行動は、うつ病状態が関連していることが分かりました。
また、人格特性、経済的安定性、購入の自己正当化など、さまざまな心理的要因が消費者行動に影響を与えていることが明らかになりました。これらの要因は、パンデミックの特異な状況下で、人々がどのように商品やサービスを選択し、消費するかを理解するのに役立ちます。
さらに、パンデミックが進行する中で、人々の消費行動には変化が見られました。最初は必需品の購入が増加し、次第に非必需品に対する消費も増加しました。これは、人々がパンデミックの状況に慣れ、ストレスや不安を和らげるために、楽しみや娯楽のための商品を購入するようになったことを示しています。
参考文献
タイトル
「Psychological factors and consumer behavior during the COVID-19 pandemic」
著者
Adolfo Di Crosta,Irene Ceccato,Daniela Marchetti,Pasquale La Malva,Roberta Maiella,Loreta Cannito,Mario Cipi,Nicola Mammarella,Riccardo Palumbo,Maria Cristina Verrocchio,Rocco Palumbo,Alberto Di Domenico
出版日
2021年8月16日
増税は消費行動にどのような影響を与えるのか?
次は、インフレ期待が高まると、消費支出がどうなるのかについて述べます。
この研究の結果を理解することで、経済政策や個人の金融計画において重要な洞察を得ることができます。特に、インフレ期待が消費行動に与える影響を理解することは、個人の財務計画や政府の経済政策の策定において非常に重要です。
このセクションを読むことで以下のメリットが得られます。
インフレ期待が消費行動にどのように影響するかについての理解が深まる。
経済政策や個人の財務計画において、インフレ期待をどのように考慮すべきかについての洞察が得られる。
このように、このセクションは経済政策や個人の財務計画に興味がある方にとって、有益な情報を提供します。また、インフレや消費行動についての基本的な理解を深めるための良い機会となります。
実験の概要
この研究では、非伝統的な政策が家計の期待にどう影響し、それが消費行動にどう作用するかを分析しています。具体的には、インフレ期待が消費行動に与える影響に焦点を当てています。
実験結果のまとめ
消費税の増税予告の効果:消費税の増税予告によって、家計は将来の価格上昇を予想し、より積極的に消費を行うようになります。これは、将来の消費がより高いコストになると考えるため、現在の消費を促進するという理論に基づいています。
フォワードガイダンスの効果の欠如:一方で、フォワードガイダンスは家計のインフレ期待や消費意欲に明確な影響を与えなかったことが示されています。これは、フォワードガイダンスが家計に十分理解されていない、または信頼されていない可能性を示唆しています。
※補足
フォワードガイダンス(Forward Guidance)とは、中央銀行が未来の金融政策に関する方針や意向を事前に公表することです。これにより、市場参加者や家計が、将来の金利や経済状況についての予測を立てやすくなります。
興味深いポイント
論文の興味深いポイントは、インフレ期待が消費行動に与える影響の実証的な証明です。
多くの人々は、インフレ期待が高まると消費を控えると考えるかもしれませんが、この研究はその直感に反しています。
実際には、インフレ期待が高まると、消費支出が増加することが示されています。
具体的には、インフレ率が上昇すると予想される時、人々は現在の購買力が将来低下すると感じ、消費を促進する傾向があるということです。
これは、特に耐久消費財に関して顕著です。家庭は、価格が上昇する前に大きな買い物を済ませようとします。
結論
この研究は、非伝統的政策が家計の期待管理を通じて消費行動に影響を与えうることを示しています。特に、消費税の増税予告のような明確で具体的な政策は、家計のインフレ期待と消費行動に強い影響を与えることが分かります。しかし、より複雑で抽象的な政策は、家計に理解されにくいため、その効果は限定的かもしれません。
参考文献
タイトル
「Managing Households’ Expectations with Unconventional Policies」
著者
Francesco D’Acunto(Boston College, Carroll School of Management)
Daniel Hoang(Karlsruhe Institute of Technology)
Michael Weber(University of Chicago, Booth School of Business)
出版日
2021年7月16日
私たちが今日から取り組めること
1. 消費者心理の理解
パンデミックや経済政策の変化が私たちの消費行動に影響を及ぼすことを理解することが重要です。特に、不安や恐怖が高まると、必需品への支出が増加する傾向があることを認識しましょう。この知識を使って、不安定な時期における自分の消費行動をより良く管理することができます。
2. 予算計画の見直し
インフレ期待や税制の変更がある場合、家計の予算計画を見直すことが大切です。将来の価格上昇を予想して、現在の消費を調整することができます。特に、大きな購入や投資に関しては、市場の動向や経済政策を考慮に入れることが重要です。
3. 情報の活用
市場や経済に関する情報を積極的に収集し、それを自分の財務計画や消費行動に役立てることが重要です。特に、経済政策やインフレ率の予測に関する情報は、購買決定に大きな影響を与えます。
記事のまとめ
この記事では、パンデミックや非伝統的な経済政策が消費者行動に与える影響について分析しました。COVID-19パンデミックは、消費者の不安や恐怖を増大させ、それが必需品への支出増加につながったこと、また、インフレ期待や税制の変更が消費行動に及ぼす影響を明らかにしました。これらの知見は、私たちの日常生活や経済的な決定に直接関連しており、より良い財務計画や消費行動の調整に役立ちます。
終わりに
今回の内容は以上です。
このライフバランスラボでは、あなたの人生を豊かにする内容について、論文を分かりやすく解説します。
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最後まで読んでいただきありがとうございました!