見出し画像

子どもの言葉の表面だけで判断してはいけない

まったくえらそうに言えることではないが、私は子どもにすぐ感情的に怒ってしまう。

たいていは自分に余裕がない中で、思ったような段取りで物事が進まなかった時などにそのボルテージが上がる。

たとえば、早く子どもを寝かせて自分の用事をしたいと思っているにも関わらず、
「お風呂に入ろう」
「嫌だ」
「寝よう」
「まだこれ見たい」
などと反論されたり、屁理屈を言いながら指示に従わなかった時だ。

子どもには子どものペースがあると頭ではわかっていながらも、なかなか冷静になれない。


そんな私を横目に、子どもたちは毎日その問答を繰り返す。
特に空気を読んで最終的にはうまく立ち回ることのできる下の子とは違い、上の息子は何度言われても同じことを繰り返す。

特性上切り替えが苦手で、感情コントロールも苦手。
衝動性も高く注意もそれがちな息子は、どうしてもその怒りのターゲットになってしまう。



我が家ではゲームやタブレットの使用は平日1時間というルールを設けている。
ルールを犯した場合、1週間、その使用は禁止される。

息子はそのルールをこれまで何度も犯し、禁止をくらったことも1度や2度ではない。

それでもまた、繰り返す。
そんな彼のことを、私はまったく改善も成長も見られない、何の反省もしない子なんだと思っていた。


ある日のこと。
1時間の持ち時間を終えた息子が、いつものようにちょっと私が目を離したすきに、こっそりゲームをしていたのだ。

私はもちろん怒った。
彼はまたいつものようにさんざん口ごたえをして、屁理屈を言って抗った。

さらに烈火のごとく怒った私は、これまで何度もそうしたように、1週間の禁止を命じた。

息子は大泣きしながら抵抗したが、母の決断が揺らがないと分かるとその涙は落胆に変わった。

そして壁に向かってひたすらつぶやきだした。

「ゆうわくにまけるな…ゆうわくにまけるな…」

「・・・!?」

私は驚いた。

ひたすら自分に言い聞かせるように、つぶやいている。

「誘惑に負けるな」と。

そして彼はおもむろに紙にも書き出した。

「ぜったいに、ゆうわくに、まけるな!!!」


それを見ていると、怒っていた自分が情けなくなり、たちまち息子に謝罪した。

そう、彼は反省をしてなかったわけでも、成長をしていなかったわけでもなかった。

衝動性が強く、切り替えが苦手な自分と、実はずっと戦っていたのだ。
そして、それを自分に言い聞かせている。

誰だって誘惑に負けることもある。
私だってこの2年で3キロ太ったのは誘惑に負け続けた結果だ。

注意されて、怒られて反発することはある。
私も、子どものときは反発しまくっていた。


表面上の言葉だけで、子どもを判断してはいけないんだと思った。
怒られたら反発するけど、彼はちゃんと親の言葉を聞いているし、望まれている行動もわかっている。

そして、それができない自分と戦っているのだ。

そのことを常に大人も心に留めておかないといけないと知ったできごとだった。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集