たねだ・みえ

日々、おもったこと、感じたことを うたうようにつづってます。 なんでもない事の素敵さ。…

たねだ・みえ

日々、おもったこと、感じたことを うたうようにつづってます。 なんでもない事の素敵さ。 使用した絵はInstagramにも載せています。

最近の記事

KOMOREBI

映画「PERFECT DAYS」を3回観た。 役所広司さん演じる主人公の男性は 台詞があまり多くない 言葉少なにただ生活をおくるその姿は 不思議とずっと見ていられる 惹かれるものがある 演じているにはあまりにも自然体で 一般人の佇まいにはあまりにも豊かで、美しくて 映画の中、男性は毎日ルーティンをこなす 仕事をして、いつも同じお店に行く そんな彼が物語の終盤で 「何も変わらないなんて、そんな馬鹿な話ありませんよ」 と言う 日々を丁寧になぞるような彼から発せられたことが、

    • 秋、しみこみ中

      助手席に座ったら秋を感じた。 夏のこもった熱気が無い。 すぐにでもエンジンをかけて、エアコンをごうごうと効かせなくても平気だった。 玄関を開けて感じる涼しい風よりずっと 身に染みる秋の空気だった。 この頃の秋は短い。 もう10月だというのに まだ昼間は半袖で過ごせてしまう。 それでも朝晩は随分涼しくなった。 ながい夏の余韻の中で ひとつひとつ秋らしさを拾っていくのは ちょっと楽しい。 ちいさい秋みつけた♪という歌があるのも うなずける。 秋はみつけるとうれしい。

      • 初めての図書館で

        初めて入る図書館とは なぜこんなに心が踊るのか 建物の重厚感と解放感 古い本 新しい本 本屋ではなかなか見かけない、専門書 そのどれにも心くすぐられる どの図書館もこの世のすべての本は並べられていない 何が無くて何が有るのか それを見るのも面白い もちろん新しい本との出会いはたまらない けれど、再会もまたとても嬉しいもので 図書館には少しだが漫画を置いている施設もある 図書館にある漫画には、他のジャンルの本よりも「ここに置いても遜色ない、選び抜かれた作品たち」という印

        • 花より団子よりお品書き

          先日、古民家カフェへ行った。 古い民家を使った店内には本棚や蓄音機が置かれ、趣のある素敵な空間が作られていた。 私と友人が通された席は縁側のロッキングチェアだった。 窓の外には柿の木があり、木漏れ日を浴びながらロッキングチェアに揺られる。 注文したスコーンもコーヒーも美味しい。 店主の笑顔も素敵。 あぁ、なんとも贅沢な時間。 そんなカフェで一番印象に残ったものがある。 メニューだ。 そのカフェのメニューは原稿用紙だった。 ハードカバーの冊子を開くと、学生の頃読書感想文

          遅い秋の思い入ること

          少し前まで悪口をよく聞く環境にいた 不満や愚痴ではなく、相手を馬鹿にしている言葉を並べたものだ 誰かを見下したその会話が大嫌いで、 離れることができてよかったこの頃 新しい環境で厳しい言葉をかけられたつい先日 とにかく文句を言いたいだけでは?と 言いたくなるくらい日に何度も頭を下げた先日 厳しいその人が去った後、 「今の言い方、キツいよね。」 と言ってくれる人がいた。 どれだけうれしかったか ここ数日ひとりでモヤモヤとしていた事が、 たったひとりの共感でしゅーしゅーと

          遅い秋の思い入ること

          歌を読まない

          私は邦楽以外をあまり聴かない 外国語がわからないから 流行りの洋楽を「ららら…」と口ずさむことはあるけれど、好きだと言えない 何を言っているのかわからないから 英語で歌う邦楽アーティストも和訳を読んでから好きだと言うようになった 歌詞の言葉を聞き取りたいと思う だってそれが歌に込められた想いだから それを受けとって初めて、ちゃんと「聴けた」ことになると思う 自分は歌に対してそう考えていたし、受け取れる、感じられることを素敵だと思っていた 少し前、後輩が言っていた 「言

          歌を読まない

          広間の上手から

          小さな朗読劇を観た 舞台も客席も無い 小さな劇 観客と役者の距離は3、4mほどで こんなに近くで演技をする役者さんを見るのは初めてだった まず、舞台というもの自体あまり縁がないので それはそれは新鮮だった カメラワークがない 劇場は、どこから観るか、自分がどこを見るかで映るシーンが変化する ドラマのように話している人物にカメラが寄ることがない ただそばで立ち尽くす人を見ていてもいい 席によっても見える役者の角度が違う その日私は上手側から劇を観ていた 舞台袖にきえて

          広間の上手から

          のれんで骨折

          久しぶりに会えた友人と3時間以上話して 帰り、体がとても重かった なんなら翌日も重かった 近況報告し合って そこそこ笑って とりとめのない話をして 美味しいものを食べた 友人と別れてから、 言えなかったことや 言わなくてもよかったことばかり数えた そんな自分が貧しく思えて 友人の笑顔を思い出す 笑ってくれたなぁ と考える たのしかった のは、確かなのだ 私、彼女から何を聞きたかったんだろう 家庭、マイホーム、子ども、仕事 プライベートな話ができる子は大切だ 有意

          のれんで骨折

          フルーツピック

          木製のフルーツピックがあった 星がついていた ぬいぐるみ用の魔法の杖のようなそれを手に取ってみる フルーツピックってかわいい フルーツのあざやかさに負けないくらい かわいいでしょ!って主張するデザインのものが 多いと思う すべすべの木製で てのひらサイズで お星さまがついていて 今まで私の生活に無かったものだ なんかいいなぁ… わかっている これがとっても魅力的なのは ここが小さな雑貨屋さんの素敵な店内であることも影響していること とてもかわいらしいけれど 我が家に

          フルーツピック

          街路樹の素

          今日走った道はきらいじゃなかった 初めて通る道だったけど、不思議と落ち着いていた 背の高い街路樹が多い道だった 背の低い建物が多い道だった 自分は都会で暮らすほうが向いていると思っていた 地元よりも市街地に越してきたが、なかなか慣れずにいる 少し走らせて、少しだけ田舎道を行くと緊張がとけるようだった まだまだ私の心は大きな木の元 のびた雑草のかげでうずくまっているんだと気づく 整えられた細い木々に挟まれた広い道路を 堂々と走る日はもう少し先かも 幕

          シナモンをたっぷりと

          はじめてキャロットケーキを食べた これは、 この名前じゃなければ、ニンジンが入っているなんてわからないな オレンジ色のつぶつぶが見えて ニンジンだ って思った 知らなかったら このオレンジは何に見えていたんだろう オレンジかな シナモンの香りがひろがる 茶色い生地にしっとりほろほろスパイシー 小さな何かがたくさん入っている シナモンケーキだ 上にはクリームチーズのフロスティング フロスティングって言葉、はじめて使った どこで植わったものか忘れたが、 私の中でキ

          シナモンをたっぷりと

          水色アイシャドウ

          水色のアイシャドウ 持ってますか? 映画を観た ドーナツをほおばりながら ファッション誌を読むネイリストが可愛かった まぶたが水色だった とても似合っていた 私は水色のアイシャドウを持っている けれど、ほとんど使えていない 似合わないだろうと思う色は手放すことができる だけど、水色は ドレスアップの色だと思うから 私には似合わないかもしれないけど 私じゃないものになりたいときに塗る色なら 私に似合わなくてちょうどいいのでは とくべつな色なのだ きっと

          水色アイシャドウ

          手首のメモリー

          初めて使うケトルでコーヒーを淹れようとしたら、お湯がどばっと出てしまった。 慣れてくると水が細い線を描いてゆっくりとぽとぽと注ぐことができるようになった。 料理に慣れるまでは目分量などわからない 始めて入る和室の障子を引く力加減がわからない 他人の家の水道レバーに込める力がわからない 手や指先には専用のメモリカードがあるかと思うほど たくさんのことが記憶されている 見るだけでは覚えられない 言葉を聞くだけでは身につかない 手先ほど経験で学んでいくものはないように思う

          手首のメモリー

          パフェをインストールする空き容量がない

          パフェのこと知った気でいる。 見た目が華やかで、甘くて甘すぎなくて美味しくて、季節ごとに旬のフルーツが使われている… イメージやざっくりとした知識はあるけど 今までの人生のうち、パフェを食べた回数は片手の指で足りる程しかない。 パフェってテレビや雑誌で特集されるだけでなく、可愛い雑貨にワンポイントでイラストが入っていたりするから身近に感じますよね。 いや、思うより無いよ。メニューに立派なパフェがあるお店。 あってもランチできるくらいそこそこのお値段するからなかなか手伸び

          パフェをインストールする空き容量がない

          「ぱやららん とふ」

          意味のない言葉を浮かぶまま声にすることがある。 「なほなほしてた」 「つるするすんや」とか。 何言ってるか自分でもわからんが。 この、「とくに考えもせずに出した音たち」はそのまま何にもならずに空気にとけますが こういうようわからん音たちをぽろぽろこぼしていくうちに思いもよらぬ流れをつくり おや、これは物語!になっていたりする ほわやぁ ぷけぷけ と、たとえばこれが、今わたしが落としたコピー用紙が床に落下する音だとして 紙からこんな音がするだけで愉快でファンシーなファ

          「ぱやららん とふ」

          「わたしのワンピース」は私の…

          幼い頃お気に入りだった絵本といえば「わたしのワンピース」だ。 小学校にあがってから読み返した記憶はないが、おおまかな話の流れは覚えている。 うさぎが作ったワンピースの柄がころころ変化するのだ。 生活環境や仕事の変化に疲れていた私は、あたたかくて懐かしいものに飢えていた。 図書館に行き「わたしのワンピース」を手に取った。 素敵だ。 白いワンピースに映る景色が、どれも素敵。 幼い頃はこのワンピースに憧れていたけれど、今の私は、自分がこれを着たらどんな景色を映すのかと思うと恐ろ

          「わたしのワンピース」は私の…