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【批評】フィクションが課す運命性からの解放について——劇場版『RE:cycle of the PENGUINDRUM』(『輪るピングドラム』)試論——
はじめに この論は決して「作品の隠された真実といったものへの接近ではなく、作品がもちうる無数の豊かさのひとつへの接近」[i]を目指すものである。 『輪るピングドラム』とは テレビアニメ『輪るピングドラム』(以下『テレビ版』なお、テレビ版および劇場版を含めたコンテンツ全体としての呼称を『ピンドラ』とする)は、2011年7月から12月にかけて放送された。「家族」をテーマに、運命に翻弄される子どもたちを描いた作品であり、謎が謎を呼ぶストーリーだけでなく、アヴァンギャルドな演出