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私の2024年上半期映画ベスト10

私が2024年の6月末までに映画館で観た映画の中からのベスト10です。

#2024年上半期映画ベスト10
①ソイレント・グリーン
②みなに幸あれ
③夜明けのすべて
④悪は存在しない
⑤デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション前章
⑥ゴジラ×コング
⑦ハードボイルド・レシピ
⑧NN4444
⑨哀れなるものたち
⑩蛇の道

10位 蛇の道 黒沢清 監督

インパクトあるポスター

 グランドシネマサンシャインで観賞。娘を殺されたフランス人のダメそうな男に、心療内科医の女が手を貸し容疑者を監禁するが…?

 1998年の哀川翔主演の傑作を、柴咲コウが主演、舞台を日本からフランスに移したリメイク。明らかに黒沢清映画なのにフランス映画で、大筋は1998年のオリジナル版と同じというのが奇妙な感覚。主軸の復讐パートよりも、西島秀俊演じる脇役のヤバイ患者の方が凄みある感じ。

 黒沢清監督なので当然面白いが、傑作のオリジナル版の方が凄いです。ホラー映画要素が削られ、リベンジ・サスペンス寄りになったのがホラー好きな私としては残念でした。

9位 哀れなるものたち  ヨルゴス・ランティモス監督

おしゃれなポスターだが実態は…

 TJOY品川で観賞。母親の死体に胎児の脳を移殖され蘇生し、温室で育てられたフランケン美女が、自分の意志で旅に出てクズ男と対峙する。

 エマ・ストーンさんがめちゃくちゃ頑張った濡れ場が沢山あるロマンポルノ大作だが、ひとりの人生を追体験していく女性版のレ・ミゼラブルみたいな文学的味わいがある。

 それなのに冒頭と締めは怪奇フリークス映画になっているのも良い。相当面白いしメッセージも素晴らしいけど、142分はちょっと長くて後半間延びしてる。

8位 NN4444 
監督 中川奈月 佐久間啓輔 宮原拓也 岩崎裕介

謎のポスター

 下北沢のどこかに新しくできた映画館、シモキタエキマエシネマで突如一日一回上映されていた謎の映画。公開日からしばらくは満席が続き観に行くタイミングを見つけるのが大変だった。

 内容は、4人の若手監督によるホラー映画オムニバス。「世にも奇妙な物語」をちゃんとした映画ルックにしたような味わい。

 中川奈月監督『犬』は、モラハラのクズ夫と結婚した女性が町で犬のような女の子を見かける。主演の小川あんさんは、これまで恋愛や人間ドラマをメインとした作品の出演が多かったが、それとはタイプの違う芝居が味わえる。

 宮原拓也監督『VOID』は、空虚な学校生活に徐々に違和感が出ていくネオJホラー。普段CMディレクターをやっている宮原監督による斬新な恐怖映像が沢山楽しめる。

 凡百のJホラーは意外に『リング』『回路』といった歴史的名作から学んでいない作品が多い。しかし『VOID』は、貴重な黒沢清/篠崎誠の遺伝子を受け継いだタイプであり、新しい恐怖表現もあるJホラー。怖くて退廃終末感もありおススメです!

7位 ハードボイルド・レシピ 松浦本監督

イカすポスター

 シネマート新宿で観賞。日本ヤクザ潰しを狙う海外からの刺客。暗殺するターゲットを監視してると、自称ボディガードとか言ってる ゆるふわ少女が現れるが…

 ナメてた眉村ちあきが実は一流の仕事人でした映画。海外マフィアと日本ヤクザがそれぞれ雇った殺し屋同士が街の裏で戦う。激しいバトルモノではなく、新宿や渋谷のリアル街中の雑踏をゲリラロケで展開する尾行と、相手の裏をかく攻防が面白い。邦画の中で少ないノワール系映画。

 歌手である主演の眉村ちあきさんが持つ独特の、ふわふわだけど聡明で確固たる意思を持つ人柄のエッセンスが役のキャラクターに反映されていて魅力的。普通に面白い娯楽映画でシリーズ化希望。
『ベイビーわるきゅーれ』が好きなあなたにもおススメです!

6位 ゴジラxコング 新たなる帝国
   アダム・ウィンガード監督

IQの低いポスターすき

 TOHO日比谷でIMAX観賞。コングが仲間を探して、また地底世界をウロウロする楽しいお話。怪獣どもだけで愉快にウホガオしてる人間不在の場面が多く、過去のシリーズからIQがさらに低下。

 悪い猿が支配する集落の場面になると、怪獣の大きさも分からなくなり、ほとんどライオンキングみたいな感じになってしまい笑う。

 カニ怪獣やヘビ怪獣など全然知らん怪獣も登場し、怪獣プロレス度を高めてるおバカで楽しい怪獣映画。ただ、画面を占める猿が多すぎるので、そのリソースがあるなら、あと10体知らない怪獣を出してほしかった。

 そして過去作にチラっと出た謎のマンモスを出さない意味がわからない。マンモスを出してください。マンモス。

コロッセオお眠りゴジラがかわいいので商品化希望

ゴジラが前作の小栗旬の変顔能力みたいのを習得してパワーアップするのもヘンで好き↓

前作の小栗旬さん
変顔でパワーアップ

5位 デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション前章 黒川智之監督

地球が くそヤバい!

 新宿バルト9で観賞。『インデペンデンス・デイ』みたいな円盤が襲来しても何も変わらなかった?世界の東京。女子高生2人の日常がおかしくなってくる。

 予測していたような、UFOが襲ってきて逃げる、もしくは対抗する「宇宙人侵略モノ」とは全然違う展開になるのでビックリ。デブだけどイケメンな兄など、ユーモアも楽しい。予測不能で少し怖いし面白い、最新のセカイ系アニメ。

 原作の浅野いにお作品は、かなり前に初期作だけ読んで、サブカル臭が苦手でそれ以来読んでいなかったけど、このアニメ映画はかなり面白かった。

4位 悪は存在しない 濱口竜介監督

これは、君の話になる-

 ル・シネマ宮下で観賞。自然豊かで人々が素朴に暮らす山林の町に、コロナ補助金を目的とした芸能事務所が、自然を破壊するグランピング場の開発を企んでいる。

 序盤は、豊かな森の中で生活する人々が静かに描かれ、何の映画かよく分からない。しかし、濱口監督お得意のリアルタイム対話が、地元住民への事業説明会を全部見せるシーンから始まる。そこから明確に映画の空気が変わり、最後までずっと面白い。

 悪役だと思われた開発担当スタッフ二人の車の中での会話など、人と人との本音の対話が味わえる対話映画であり、お仕事映画でもある。

 『悪は存在しない』というタイトルに反して、実際は上流に対話をしない悪が存在する、ということが分かる社会の恐怖を描いたホラーのようでもある。一度観ただけでは咀嚼しきれていない面もある。

3位 夜明けのすべて 三宅唱監督

ポスターは普通

 池袋シネマロサで観賞。重度PMSの影響で職場でトラブルを起こし転職した女性がダメダメな後輩と認識してた男も実はパニック障害と闘病していた。 

 病に苦しみながら、なんとか生活していた人が、大変なのが自分だけではないこと。自分は人と助け合える部分がある、ということに気づいていき、視野と生き方が少し変わる。心の傷を癒してくれるヒーリング映画の名作。

 私は主演の松村北斗さんのことを全く知らず、上手い俳優さんだと思っていたら、アイドルグループSixTONESのメンバーの方だと後で知り、驚きました。

2位 みなに幸あれ 下津優太監督

絶対に幸のないポスター

 池袋シネマロサで観賞。就職前の女の子が久々に田舎の実家に帰ったら、おじいちゃんおばあちゃんに何か違和感。

 暗い廊下に後ろ向きに立ってるおじいちゃんが怖い。よく出来た村ホラーだなあと思ってると、その先にもっともっと異常な展開になる。

 アリ・アスターあたりの、現在注目されているメッセージ性の高いホラー監督の作品よりも、もっと凄い社会派邦画ホラーの新しい傑作です。観てください!



1位 ソイレント・グリーン -デジタル・リマスター版-  リチャード・フライシャー監督

ポスターが素晴らしい

 シネマート新宿で観賞。1973年のSF映画がリバイバル上映。自然破壊が極まり農業や畜産、文化もほとんど消滅した未来。大富豪の殺人事件を捜査する刑事が突き止めた真実とは…

 オチが有名なので、幸運にもまだ知らない人は絶対に検索してはいけません。有名なオチを知っていてもなお、知らぬ間に巨大資本に洗脳され、合成食料だけを食べ、人権を奪われていることにも気づかず文化が衰退してしまった社会描写に打ちのめされる。ディストピア映画の王様!

 『悪は存在しない』のような人と人との対話が、あらゆる局面でうまくいかなった先にある、自然破壊と人権蹂躙が極まった未来が『ソイレント・グリーン』なのではないかと思います。

 以上、私が2024年の上半期に映画館で観た映画のランキングでした。
 皆さんも、自分が観た映画やアニメ、ドラマやお芝居、本や漫画、展覧会などのランキングを記事にしてみてください。楽しいですよ♪

私の感想/レビュー記事をまとめたマガジンです



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