上っ面研究記⑵「平家物語」

上っ面研究記⑵「平家物語」

自分は、大学院の時、近現代の日本文学を研究していた。焦点を当てて居たのは、芥川龍之介の晩年である。『歯車』、『玄鶴山房』、辺りの論を書いて居たのだが、勿論、ゼミで様々な院生や研究員の発表を聞いたし、発表される作品は読んで臨んで居た。太宰治、夏目漱石、内田百閒、島崎藤村、萩原朔太郎、他にも様々だったので、勉強になったことは確かだった。

ところで、院に行って居ても、受講して単位を取るために、古典の講義、語学の講義など様々あり、中でも印象に残っているのが、平家物語に関する講義だった。レポートを出したところ、酷評されてしまい、やはり古典は奥深くなると、不得意だなと思ったが、得るものも多く、平家物語には、系譜があり、様々な本によって、内容も少しずつ異なっており、~本、~本、と言う風に、伝わり方が違うのである。

この講義で、近現代文学の研究に、平家物語の伝わり方の系譜を敷衍するならば、やはり、弟子などが居る、ということに帰着する。直近では、自身が書いた、太宰治の『津軽』と、松永K三蔵の『バリ山行』の、風土記としての系譜である。また、ずっと書いてきている、埴谷雄高ー安部公房、の系譜である。平家物語の講義を、まさに転化しての、系譜論である。大学院は中退したが、学部の頃とは全く異なる、深い学びが出来たと思って居る。今回は、上っ面研究記⑵「平家物語」として、述べてみた。上っ面だろう。

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