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お仕事インタビュー#2 ヤマヴ飲料店 店主
こんにちは、good;です!
この企画はメンバーの三浦が知人の仕事の話を聞くことが好きということを起点として、幅広い職業の方々にインタビューする企画です。
職業そのものについて紹介されているメディアは沢山あるので、この企画では職業よりも人にフォーカスすることにしました。
毎度その人が抱える葛藤や悩み、クォーターライフクライシス(25歳前後で訪れる、思い描いていた人生を送れていないことに戸惑い、焦燥感によって幸福感が低迷する状態)にフォーカスし、質問しています。
まえがき
第二回は、私が札幌に住んでいた時に通っていた喫茶店「ヤマヴ飲料店」の店主であるフカフカさんという方にインタビューしました。
飲料店という名前の通り現在約200種類のコーヒーアレンジメニュー等を販売しており、店内はカウンターしかない不思議な雰囲気の喫茶店です。
変わったコンセプトのお店を開くことになったきっかけや、続ける中での思いについてお聞きしました。
(聞き手:三浦)
はじめたきっかけ
ーこのお店で働く前は公務員をやっていたと以前に聞きましたが、どういうきっかけでお店を始めようと思ったんですか?
ヤマヴ飲料店 店長(以降店長)
公務員はお金のために仕方なく就職して、最初から後ろ向きだったんですよ。
でも公務員は公務員でおもしろくて、そのままでもいいかなと思い始めた時に、最後に配属された部署が酷すぎて、もうやってられないなと思って。
その時に以前通っていた喫茶店のママさんが「喫茶店の経営はおもしろいよ」と言っていたことを、ふと思い出しました。
それで、公務員の仕事をやめて「じゃあもう(喫茶店を)やるしかないでしょ」という感じでした。
ーやってみておもしろかったですか?
店長)おもしろいですね。公務員って特定のジャンルでしか不特定多数の人と深い話をする機会がなくて、もっと色んな人と話したいと思ってました。それもこの仕事を選ぶ理由の一つになりました。
当時色んな人と深い話をできる仕事を想像した時に、思い浮かぶものが二つあったんですが、選んだのは今の仕事でした。
もう一つの仕事は、多分悩める人しかこないなと思って、もうちょっと人の幸せな話を聞きたいと思ってこの仕事にしたみたいなところはあります。
ーいろんな人ってどんな人がきますか?
店長)ほんとに色んなひとですね、不特定多数です。”どうでもいい話”を含めて、いろんな話を聞きたいですよね。
ここはやっぱりそれができるので。
だからわざと住宅街に作ってます。どうでもいい話をする相手がいないような人が、誰でもこれるような感じにしたかったんです。
1人でくるお客さん
ーお客さんで言うと、この店は一人で来る人が多いですよね。それはなぜだと思いますか。
店長)そうですね、意図的な部分が多いと思います。
というのも僕が立地を選ぶ時に、ここ(平岸)は飲食にお金をかける20~30代が多いというデータがあったので、その人たちは単身者だろうと思い選びました。
あとは、わざとボックス席を作らず、一人で入ってきやすい環境をつくりました。それもちょっと意識してます。
ーちょっと話は変わりますが、私も1人で通っていて、8月に東京に引っ越すことになったんですよね。
それでこのお店に通えなくなるから「毎回楽しく帰らせてもらって救われました」と店長に連絡した。
そしたら、「札幌を離れた常連さんから僕が喫茶店営業で何をしたいか完璧に伝わっていた内容の感謝のDMがきて涙目になりました」と店長がツイートされてて、あれ私のことかなと思ったんですけどそうですか?笑
店長)正解ですね。最初に来た時、(三浦が)あまりすごい元気には見えなくて
ーそうですか!?
店長)僕はそういう人を大切にしていく営業をしたいと思っていて、いやぁ来てくれてありがとうなんですよ。
でも、実際効果の程は分からなくて「今日楽しくなかったんじゃないか」と思うときもあって、ああいう風に評価してくれたのは非常に嬉しかったです。
ー私みたいな人を大切にしていく営業と仰っていましたが、そう思う理由はあるんですか?
店長)周りに気軽に相談できる人が誰もいないと、心が簡単に瀕死状態になるんですよね。自分が実際にそういう経験をしたのが大きいと思います。
そういうときに突然病院にかかろうとしても予約がいっぱいですぐ診てもらえなかったり、結局誰も話せる人なんていないんですよ。
そういうときに思い出してもらえる存在になりたいですね。普段から築かれた関係があれば、いつか役に立つでしょうから、他愛もない話ができる距離感をたくさんの人と作っていきたいです。
ーそういう思いがあったんですね。私は元気がないときにもよくお邪魔していて、ヤマヴ飲料店みたいなお店があってほんとうによかったです。
あの頃
ー店長は今40代ですよね。この記事を読む人は私と同じ25歳前後の人が多いと思うのですが、当時どんなことを考えていましたか?
店長)当時インターネット黎明期で、SNSが登場し始めて一気に友達ができた時期ですね。
その頃は色んな人と会って話してました。その後30歳くらいでみんな家庭に入っていって誰もいなくなりました。でもその頃は楽しかったです。
悩み
ー最後に、これはインタビューする皆さんに聞こうと思っているのですが、”悩み”はありますか?
店長)今一番ほしいのは時間ですね。
ー時間があったら何がしたいですか?前にZINE(個人制作の雑誌)を作りたいとおっしゃってましたよね。
店長)そうですね、音楽のZINEとか意味のわからないZINEをつくりたくて。
僕は、意味のわからないものが社会に存在することが、すごく重要だと思っています。
これゆらゆら帝国の坂本慎太郎とかも言っているやつで、無駄なものが社会にあることがとても良いことだと思うんですよね。
戦争真っ最中の国とか、あまりに貧乏で生きるか死ぬかを国民の大半が感じて生きているような国だと、無駄なものを楽しむ文化が育たないので。
無駄なものを楽しむ社会であってほしいです。
ー無駄なもの、私もめっちゃ好きです。私もそういう社会をつくっていきたいです。
あとがき
変わったお店を経営する背景には、人との何気ない会話を大事にするフカフカさんの人柄が見えました。
このお店は、札幌市の地下鉄南北線「平岸駅」から徒歩3分のところにある喫茶店です。
ぜひみなさんに行ってほしいです。