
花と鳥はいなくとも
赤く埋め尽くす落葉
背中に吹きつける茜色の風
北風と呼ぶには生温い
秋風と呼ぶには肌寒い
過ぎた季節の残滓か
訪れる季節の予兆か
答え代わりの微風
投げて寄越すはイチョウの葉
深くなっていく夜空
冷たく火照る三日月
明日には新月は暗幕に消えるだろう
だから今夜は目が眩むまで
白い霞を溜め息に混ぜては考える
世界と併走する意味を
不変の願いなど無いのに
意固地に変わることを拒み続ける意味を
踏み出す足は傷にまみれ
睨み返す瞳は磨り硝子
残る砦は心だが
それすらも継ぎ接ぎで凌ぐ有様
理由なんて御大層なものはない
吹き抜ける風のように
それでいて欠けても満ちる月のように
生きていたいだけ
ただ、それだけ