地方創生2.0は交付金が2倍!どうだ
地方創生2.0
第2次石破内閣の成立後に行われた国会演説で「日本の活力を取り戻す経済政策であり、そして多様性の時代の国民の、多様な幸せを実現するための社会政策」として、重点項目の一角に位置付けると宣言されていました。
推進の方向性として、「日本中の皆様に、「面白い」、「楽しい」という思いを広げていく」ということで、模範例として挙がったのは、宮崎県小林市の事例。これは石破首相の指名なのか、官僚の仕込んだネタなのかは分からないのですが、そこで注目すべき点とされたのは「フランス語かと思わせるような地元の方言を使うなど、ユニークな我が「まち」紹介動画を作成し、話題となりました。これは、市の職員が学生とともにアイデアを出したもの」という話です。
また、鹿児島県伊仙町のケースも紹介され、町長自ら集落を回って、町の財政状況を丁寧に説明した結果、高齢者から、子供たちのためにもっとお金を使って欲しいとの意見が出て、出産や子育て環境の充実という形でそれを実行したところ、平成15年から平成24年までの間に合計特殊出生率が日本一となる「2・42」⇒「2・81」になったという話です。
地元自治体のご努力には敬意を表するばかりですが、小林氏の場合、「故郷を離れてしまう前に、故郷に誇りを持って欲しい、そして故郷のために活躍して欲しいとの市長の願い」が素晴らしいという風な言い方をされていました。悪い話ではないですが、これは心意気の範疇で、精神論の一種と言えましょう。
伊仙町のケースも、元々出生率が低い訳ではない地域ということで、2人以上子供を作るのは普通のことといった気風が生き残っている地域での話なので、町長の政策転換で増えたことは評価されるべきでしょうが、全国的に模範とせよと言われても、そう簡単にはいかないと思えてなりません。無論、出産や子育て環境を良くすることは大事ですが、その先の進学~就職についてのハードルや子作り以前に結婚に踏み切れない経済環境の問題があります。
その点については、この後のパートで産業振興(農林水産業、製造業、サービス業の高付加価値化)をするとか、働き方改革もする、公教育だって再生するとか、男女格差をなくす等々、良さげなことは語られていますが、具体的なカネ目の話は「地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増」・・・地方創生交付金の国家総予算に占める割合は1%あるかないか、とのことだそうで、倍になってもそんなにスゴイ影響は感じられません。
また、この他のカネ目の話は、「地方の取り組みが花開くためには、国としての環境整備も必要です。GX(脱炭素電源)の例では、洋上風力、地熱や原子力などの脱炭素電源を目指して、工場やデータセンターの進出が進み、教育機関との連携などによって、新たな地域の活力に繫がる動きが始まりつつあります。投資の予見可能性を高めるため、温室効果ガスの排出削減を求めつつ、国として20兆円規模の先行投資支援を行い、官民で150兆円を超えるGX投資を実現」・・・脱炭素で地域活性化・・・??・・・なんかスッキリと伝わらないのは私だけなのでしょうか?
かつて地方創生担当大臣だった頃の石破氏は、サルが給仕する居酒屋で「ここに地域資源を活用した活性化のヒントがある」みたいなことを言ってましたが、あれが約10年前。上記の精神論と町長の聞く力が模範例で、交付金の撒き方を気持ち強めにする・・・これが地方行脚で土地の古老たちと飲み会を重ねて意見・要望を拝聴した到達点となれば、地方の悩みはそんなに深刻じゃないように見えてしまうのは気のせいなのでしょうか?
海外のリゾート振興施策の中には、観光開発投資には大胆な減税優遇(10年間は法人税免除など)を認めるといったものがあり、成功例も少なからずあるようですが、規制改革と大胆な投資減税というのは意地でも避けたいのが石破政治のようです。これが、アンケートのたびに国民から高い支持を集めてきた政治家の選ぶ道なのですから、実に悲しい限りです。
ああ、所信表明のページ検索をしたのですが「観光」「規制改革」は引っ掛かりませんでしたね。「減税」はガソリン減税の検討だけ。