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医療・介護業界の人材紹介はなぜ嫌われる?

この業界で働いて気づいたことがある。医療・介護業界では、なんでこんなに人材紹介が毛嫌いされているのか。嫌なら使わなきゃいいじゃん。そう思う一方で、人材紹介を使わないと採用出来ないとの声が多い。

ベンチャー企業に身を置くことが多かった私ですが、人材紹介の会社を使ったことがない。嫌いだからではない。ベンチャー企業には「金」がないのだ。人材紹介を経由して採用した場合の手数料は、採用した人の25~35%が相場という。仮に年収500万円の人を採用した場合、150万円だ。そんな金ベンチャーにはない。報酬を削り、未来へ投資し、仲間と会社を大きくし、そこで今まで貢献してきた分をもらう、いわば投資しているようなもの。

医療・介護業界では訪問看護や訪問介護など、どんどん立ち上がっている。立ち上げ時期に使うなんて、儲かる業界なのか、よほど立ち上げ資金が潤沢なのか。と思うくらい人材紹介を利用する。私には到底理解できなかった。

一般企業の人材紹介の使い方

まずは、明らかにこの考えが違っているようだ。先に述べたようにベンチャー企業や中小企業では人材紹介をそこまで利用しない。いや出来ない。ではどのようにして仲間を集めるのか。ほとんどはリファラル採用だ。自分たちの周り、前職の優秀な人材、知り合いの知り合い、などお金をかけずに人脈を使ったり、未来への想いを熱く語り、想いに共感してくれる人を引っ張ってくるのだ。だがこの人脈やリファラル採用も限界がある。また事業規模が拡大してくるとCXOや事業責任者など、優秀かつ経験豊富で事業をけん引してくれるような人材が必要となる。そこで初めて人材紹介を利用するのだ。自分たちの人脈では会えないような層を、エージェントに頼み紹介を受ける。ただ、ここでもすぐ採用することはない。そういう人材は引く手あまたなので、口説き落とす必要があるからだ。また社内での精査も相当の工数をかける。「本当に採用して大丈夫なのか」「投資としてとらえられる金額なのか」「ビジョンや理念に共感してくれているのか」などあらゆる角度から精査する。そうやって双方が大丈夫だと確信を持ち、採用に至る。だからこそアンマッチも少ないし、見合った投資として人材紹介とはいい関係を構築できるのであろう。

医療・介護業界の人材紹介の使い方

医療・介護業界ではどうだろうか。私の知る限り、看護師や介護福祉士を採用することがメインで利用されている。もちろん資金力があり、スピード感もって採用したい、ペルソナも明確で、採用したい人材以外は採用しない。だって採用するまでは無料だから。という使い方なら問題ないだろう。だが、多くは違う。人材が足りない、すぐほしい、紹介されたら即採用。ここに大きな問題があるのではないかと考える。アンマッチの人材を採用してもいいことなど何もない。定着しなければ現場の人材にも負担がかかる。教育したのにすぐ辞めちゃった、また現場での負担が増える。そうすると現場サイドも辞めたくなるだろう。人材紹介が悪いというより、しっかりとペルソナを設定し、自社にマッチする人材を採用し、しっかり教育し、定着する仕組みを作っていない限り、組織はうまくいかない。そこをやらずして人材紹介料が高いというのはおかしなことではないだろうか。自業自得としか言いようがない。

なぜこのようなことが起こるのか?

私の知る限り、採用の上手くいっている医療機関・事業所にはしっかりとした「採用担当」がいる。一般企業だと人事部があり、採用専任の担当者がいる。むしろ採用こそ会社のすべてという認識があるので経営者が採用に比重を置く。やはり優秀な採用担当がいれば、人材紹介は1つの選択肢として、自分たちで採用する力をつけている。リファラル採用にSNS採用、無料職業紹介をどう使うのか、学校説明会での施策、などなど。出来ることはたくさんあるし、工夫次第で成果は変わる。逆に上手くいっていないところは、こういった施策を何もやっていない。求人を出しただけで満足し、掲載しても応募が来ない、だから人材紹介からの紹介でしか採用できないのだ。

ではどうすればいいのか?

選択肢は2つだと思う。
①採用担当を採用する
②採用自体をアウトソーシングし外部の協力を仰ぐ

①について。医療・介護業界では採用担当を採用することは容易なことではないと思う。一般企業との勝負になるのでそれなりの給与を準備しないといけないし、何より専門職の採用を担当するので知識も必要だ。ここで人材紹介を使い、「採用のための採用担当」を人材紹介で採用し、人材紹介に依存しない採用フレームを構築するのがいいかと思う。

②について。とはいえ採用担当など、コア業務(診療や利用者様へのサービス提供)に関わる人材以外は採用するコストは出せないというところも多いだろう。その場合は、アウトソーシングし、採用のプロの力を借りればいい。一般企業でも採用のアウトソーシング(RPO)は常識になっている。採用のすべてをアウトソーシングするのではなく、採用業務や母集団形成などを支援してもらい、面接から入社までを社内の人材で担う。そうすることで分業化が図れるのでコストパフォーマンスも良くなり、何より外部のノウハウを社内に吸収できるのも大きい。

最後に

医療・介護の業界に限ったことではないが、会社は「人」で成り立っている。その「人」を活かし、事業を成長させるのが「経営」である。その重要な採用を計画なしに、努力なしに集めようとせず、未来から逆算し、様々な選択肢を用意し、お金と計画と相談しながらその時々の最適な選択をすれば、採用はうまくいくと思う。私は、そのような『採用の仕組み創り』をお手伝いしたいと思い、今の会社を創った。もし、採用に悩んでいる、何から始めたらいいかわからない、今を変えたい、そんな医療・介護事業者様がいらっしゃったら、気軽に相談してほしい。採用が変われば、企業が変わる。企業が変われば業界が変わる。そう願っています。


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