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音楽療法の対象となるのは?

音楽療法の対象はどんなお方かといいますと

代替医療としての音楽療法は
医療と同レベルのことをするのではなく
医療でまかなえない部分にどうにか関わることができはしないか
それによってなにか対象のお方が良いことになりそうなことはないか
と考えます

高齢者様
お子様
子育て中の保護者様
思春期の若い人
お身体の不自由さをお持ちの人
など何かに困っておられるお方や
何か変化が必要なお方を対象とさせてもらいます

私がご一緒させて頂いた例をご紹介します

高齢者様


重度認知症で入所されておられる方々です

「家に帰りたい、家に帰りたい、家に帰りたい」とずーっとずーっと途切れず繰り返し仰る状態のお方に
音楽しているエリアにお出で頂きますと
その言葉が止まり
音楽に身を委ね落ち着かれるようになられます

不定愁訴が多くみられる時間帯に音楽療法をいたしますと施設全体が和やかに過ごすことが出来ます

皆様で音楽を共有することで
症状としての暴言や危険行為が消え
本来のその人としての発言や行動に変わります
「あなたいいわね」
「嬉しいわ」
「またやりましょうね」
と仰られたり
隣の方と手を握り合う
隣の方の背中を撫でておられる

食欲が出る
手足の動きが出る
会話が出る
感謝の言葉と表情が出る
歩いておられる方が1時間座られる
目が合わない対話がない方と目が合って意思疎通が出来る
施設内でお互いを気遣う交流が生まれる
面会に来られた他のご家族様とも交流が生まれる

これらの変化は
ご本人様にとっても
ご家族様や介護職さんにも喜びとなります

ご家族様には
ああ、いつもこうだった
本当の姿だ
こんなところが大好きだったんだよ

介護職の方には
あらいつもと違う
そうなのか
こういうお人だったんだ
そうなんですね

生き生きなさるお姿に
その場に居る皆様がよかったという気持ちになります

音楽を使いながら
心身の機能の維持改善のために
歌ったり
音楽に合わせて身体を動かしたり
文化的な会話を楽しんだり
他所行き気分を味わったり
すこーしだけ難しいことをやってみたり
上手くいかなくて笑ったり

そうなんです
最後の
「上手くいかなくて笑ったり」が大事なんです
音楽があるとこれが出来ます
白黒な世界でもなく
正邪の世界でもなく
豊かなのです
温かな関係があります
文化レベルの高い関係
思いやりいっぱいの関係です
だから「上手くいかなくて笑う」場面を私がわざと作ることもあります
そうするとほぐれますし
やさしい関係
労い合う関係
一緒に笑い合える関係が生まれます

(私は会社の会議にもこれが必要だと思っています
正しい目標に向かうことだけに命を使うのは不自然に感じます
それより前に信じ合える関係が必要です)

対象のお方はほかにも
施設ではなく個人のお方もお見えになります

お身体に不自由さをお持ちの人


お目が悪い方
10代女性
ピアノをされていました
楽譜を使わずに弾けるようにその方に合う方法をみつけて
ホイットニー・ヒューストンや(お母様の作られた歌詞に曲を付けた)オリジナルをピアノ弾き語りをされていました
伸びる声と確かな歌唱力で皆を魅了されていました
ご自身の良さを存分に輝かせておられました

50代男性
中途失明のお方でした
歌を始めようということで
電車で通ってこられました
その道中も訓練です
お迎えに上がって歩く練習をいたします
道路を渡る
段を越える
道順を覚える
とても大変です
音楽では英語の曲の歌詞を覚えて歌われるようになられました
メディアのお仕事をなさっておられましたので
センスの良さが歌に活かされていました
歌うというシンプルなことからこの方が積み重ねてきた豊かさが自然に溢れ出ていました

おまけ
パーソナルソング

どなたにも特別な1曲があり
その曲には特別な効果があると言われています
確かに御高齢のお方には特別にお好きな曲がお有りのことが多いです
毎回聴きたい毎回歌いたいという曲です
自分に戻れる
自分で自分を思い返せる
そういう曲のようです

もうひとつ
パーソナルソングではないけれど
曲が始まれば勝手に歌えてしまう曲もあります
深いところに記憶されている曲はまるで反射のように歌えてしまいます

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