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ギブスの内省サイクル(リフレクション/内省フレームワークの紹介)

ギブスの内省サイクル(Gibbs' Reflective Cycle)は、グラハム・ギブス氏が1988年に著した「Learning by DoingLearning by Doing: A Guide to Teaching and Learning Methods」にて紹介された、経験から学習するためのサイクルモデルです。他の内省(リフレクティブ)サイクルに比べ、ステージ数が多く、6つのステージから構成されていることが特徴です。

ギブスの内省サイクルとは?

ギブスの内省サイクルでは、以下の6つのステージを経て振り返りが実施されます。「(経験の)内容」ステージでは、まず、経験した内容を記述します。ギブス氏は、このステージにおいて、評価したり結論づけたりすることは避け、単純に事実を記載することが重要としています。そして、その経験に対して感じたこと等を「思ったこと」のステージで記載します。このステージでは、経験に対する自身のリアクションや感情を記載します。次の「評価」のステージで良かった点や悪かった点等を確認します。そこから「分析」のステージで、状況から導き出される意義あるもの、もしくは、実際に何が起こっていたのかの確認、他の人の経験に比べ、似ているのか違うのか等を考えます。その後、「結論」のステージになるのですが、ギブス氏はこの結論には一般化できる結論および、個別の事象における状況や実施方法等に応じた結論が導き出せるとしています。最後に、「アクションプラン」のステージにおいて、次回、似たような状況が発生した際に、どのように対処するのか、もしくは、学びを通じて次に何を実施するのかを考えます。これを繰り返すことにより内省サイクルを回して行きます。

ギブスの内省サイクルにおいて、他の多くのリフレクションフレームワークと異なる部分は、経験する人間の感情面も重要だと考え、感情・思ったことのステージが個別にあることです。経験をする際のメンタル状況や、経験の結果を受けて感じた感情を振り返りに加味することで、その後の、評価や分析において、起こった事実だけではなく、メンタル的な部分がどのように経験に影響したかも一緒に内省できることが特徴です。

ギブスの内省サイクルの簡単な実践例

無駄な会議が多いと言われている昨今、このギブスの内省サイクルを利用し、ある部門の上司が行っている定例会議について、内省を行い改善を行うことを例にしたいと思います。

内容

1ヶ月間定例会議を実施した後の、振り返りであることと仮定して記載したいと思います。

  • 毎週月曜日の朝に定例会を実施した。

  • 全員が出席した。

  • 会議では、それぞれがその前の週に実施したこと、今週実施しようとしていることを報告した。

思ったこと

思ったことでは、実施した内容について感じたことを率直に記載します。

  • 報告し合うだけの会議に意味があるのか疑問に思う。

評価

評価にて、良い点、悪い点を挙げます。

  • (良い点) 全員の行動が、口頭で共有される。

  • (良い点) 疑問があれば、その場で聞くことができる。

  • (悪い点) 時間がかかる。

  • (悪い点) 状況の確認以上に得るものがない。

分析

分析では、良い点や悪い点から、導き出される考えをまとめます。

  • 全員に対して口頭で情報が共有されているので、聞いてなかった、読んでなかったという状況が軽減され、また、疑問があればその場で聞けるので、わからない状況のまま進むことが少ない。

  • 内省的な要素を報告に入れていないので、学びに繋がっていない。

結論

分析の結果、結論付けられる内容を、結論として列挙します。

  • 確実な情報の共有という観点で、定例会議は有意義である。

  • 内省サイクルを採用することで、報告だけの会議から、学びも得られる会議になると考えられる。

アクションプラン

最後に、結論付けた内容を考慮し、次のアクションを考えます。

  • 翌月の会議から、活動の報告に加え、実施した内容から、分かったことや改善したいことも報告してもらう。そして、それを受けた上での、今週の活動を報告してもらうように変えてみる。

最近ですと、無駄な会議はやめましょうといった議論が多いですが、ギブスの内省サイクルを利用することによって、本当に無駄な会議なのかどうかも含め、考えをまとめることができると思います。それぞれのステップをちゃんと踏むことで内省の精度を高めるという意図がこのギブスの内省サイクルにはあるので、じっくりと経験を学びに変えていく場合はとても有用な方法だと思います。しかし、ステップが多いため、日常的に頻繁に利用することを考えた場合、少し細かすぎると感じてしまうこともあるかと思います。


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