統合内省サイクル[The Integrated Reflective Cycle](リフレクション/内省フレームワークの紹介)
統合内省サイクル(The Integrated Reflective Cycle)は、バーバラ・バソット氏(Barbara Bassot)が、2013年に出版した「The Reflective Journal」の中にて紹介されている内省フレームワークです。
統合内省サイクル(The Integrated Reflective Cycle)とは?
この統合内省サイクルは、比較的新しく発表されているサイクルであるため、過去の多くの内省サイクルからヒントを得て作られていることがわかります。ギブスの内省サイクルに考え方が近いのですが、ステージ数がギブスの内省サイクルに比べ少なく、実施内容における内省において、評価や分析を行うことが想定されています。
統合内省サイクルでは、「経験(The experience)」にて実際に行った内容を記載します。そして、「実施内容における内省(Reflection on action)」において、経験の内容から、どんなことが成功し、どんなことが今後改善できるかを記載します。この中で、自身の考えや思い、そして、想定との違いやそれに至った理由等、色々と内省することが想定されています。その後、「仮説・理屈(Theory)」にて、内省内容から一般化できる学び等を導き出します。Theoryを直訳すると、理論になりますが、このステージでは、理論という確固たるものを導き出すというよりは、仮説や理屈を見出すという意味合いの方が強いと思います。そして最後に「準備(Preparation)」というステージで、もし、同様なことが次回に起こった場合どのようにするかを考えます。次に何をするかというよりは、次に同様なことを行った場合に備え、どんな準備をするかといった意味合いでしょうか。
4つのステージがある内省サイクルという意味では、コルブの経験学習サイクルに近いと言えるかもしれません。コルブの経験学習サイクルも経験と内省のステージがあり、その後、仮説を導き出し、次回のアクションに繋げるというサイクルという点では同様です。ただし、コルブの経験学習サイクルの方が、ステージの名称がより学術的で、直感的ではないとも言えますので、より親しみやすい言葉に置き換えられている、こちらの統合内省サイクルの方が分かりやすいかもしれません。
統合内省サイクルの簡単な実践例
ここではウェビナーを開催したにも関わらず、申込者が想定よりも少なかったというケースを想定して統合内省サイクルを実践してみたいと思います。
経験(The experience)
経験では、事実を列挙します。
ウェビナーへの申し込みが100名だったにも関わらず、40名しか参加しなかった。
通常の60%の参加率から考えると低い数字であった。
通常通り、一週間前にリマインドメールを送信した。
実施内容における内省(Reflection on action)
経験の内容に関して、内省の内容を記載します。
一週間前のウェビナーへのリマインドメールの送信が月末に被ってしまったため、リマインダーのメールが確認されなかった可能性がある。
同日に、似たテーマのウェビナーがあったようで、参加者が分散した可能性がある。
繰り返しウェビナーを実施しているので、新鮮味が薄れている可能性がある。
仮説・理屈(Theory)
内省から導き出される仮説を考えます。
リマインドメールの送信は月末を避けるよう調整する。
似たテーマのウェビナーが同日にある場合は、参加者が分散してしまうと考えられる。
同じテーマのウェビナーは繰り返さない方が良い。
準備(Preparation)
仮説を受けて、次回ウェビナーを開催する際に、考慮すべき内容を次回の準備としてまとめます。
ウェビナーの日程を設定する際に、他のウェビナーの状況を確認する。
リマインダーメールの送信日程も考慮して、ウェビナーの日程を設定してみる。
似たような内容のウェビナーでも、タイトルや切り口を変更し、違ったウェビナーに見えるように努力する。
この統合内省サイクルやコルブの経験学習サイクルは、振り返って内省した後に、法則的なものを導き出すというステージがあるため、意識的に、これを定義することによって、この部分が、サイクルを繰り返していく中で、ナレッジやノウハウとして明示的に蓄積できるところがメリットと言えるかもしれません。
現在、GROWモデルといったコーチングおよび内省や経験学習のフレームワークを活用した、目標およびアクションマネージメントシステムを開発しております。製品に関するご意見を募集しておりますので、何かございましたら、以下よりお気軽にご意見お寄せください。