「弱者の戦略」を考えるー2<「直売所の野菜は安い」を変える3つの戦略>
リニューアルした道の駅の直売所で野菜の販売をし始めて3ヶ月目、那須高原には夏休みシーズンがやってきた。
那須高原といえば観光地。この道の駅は観光地からは少し離れているものの、地元客と観光客、ホテルやペンション、レストランのシェフなども野菜を買いに来る。
いつもは比較的静かな平日も7月後半から8月は多くの人で賑わう。
このピークシーズンは生産者の皆さんも気合を入れて野菜を持ってくる。
そう、そしてよく採れる野菜、みんなが持ってくる野菜は「値下げ競争が始まる」そんな時期でもある。
「値下げをしない」と心に決めたこたろうファームは3つの戦略で夏の観光シーズンに臨んだ。
1 売り場に無い野菜を売る
年間150種類以上の野菜を作る少量多品種農家のこたろうファーム。
その強みを活かせるのは「野菜の種類が多い」こと。
他の生産者が作っていないような野菜で確実に美味しいもの、無人販売所でも人気な野菜、カラフルで人目を引く野菜を選ぶ。
もちろん規格外の野菜は持っていかない。珍しくてキレイ、「何?この野菜?」って手に取ってしまう野菜を目指す。
茄子は4種類のうち一番人気の「ローザビアンカ」
きゅうりは他の人があまり作らなくなったトゲのあるきゅうりの風味豊かな「四葉きゅうり」
トマトの種類は35種類からカラフルに詰め合わせた「トマトのプチマルシェ」・さくらんぼみたいな食感の「プチぷよ」
ピーマンはイタリア系の「コルノデトーロ」などなど。
直売所には大きな袋にパンパンに詰められた普通の茄子、曲がったりしたきゅうりをぎゅうぎゅうに入れて、安く売っている人もいる。
もう、そことは戦わない。
2 Canvaで野菜の食べ方、説明のPOPを作る
今年から急ぎの時以外はCanvaでPOPを作っている。
デザインも選べるし、何より早い。
道の駅には珍しい野菜を持って行くので、POPは必需品。
ポイントは「大きな文字で・美味しそうな言葉で・簡潔に」
料理のオススメは写真で追加。
POP効果はけっこうあったようで、他のきゅうりや茄子が残っていても、うちの野菜がたくさん残ることはなかった。
実は美味しそうな言葉を調べる本を持っている。数年前に一次産業者向けオンライン勉強会「かん味処」で教えてもらった本。これ便利。
3 納品だけでなく接客する
道の駅への納品担当は私ではなく、普段は栽培&ホテル納品担当のかずくん。8時半スタートの直売所に納品する時間は10時半〜11時。
朝一番で納品した野菜が売れて、少し売り場に隙間ができた頃。
そして、お客様がたくさん買い物をしている時間帯を狙う。
そこに「こたろうファームの野菜ですよ〜トマトありますよ〜」とか言いながら納品して、野菜を並べる。
「何持ってきたの〜?」とお客さまが聞いてきたら、すぐ接客できる。
うちはなんでも作っているので、他の生産者さんの野菜もなんなら説明しちゃう。
時間にして30分程度。しかし、この30分の接客がとても大切。
なぜなら、野菜を売るだけでなく、
「お客さまはどんな野菜を欲しているのか」「普段どんな料理をしているか」「野菜について何を知りたいか」などなど
会話の中で、消費者目線のたくさんの情報を得ることができる!
3つの戦略がまあまあ効いたようで、毎日野菜がたくさん売れた。
「今日はこたろうファームさんの野菜はないの?」って聞いてくれるお客さまも現れた。(もともと無人販売所のお客さんだったけど(笑))
もちろん、ちょっとした反省もある。
反省点については、また後日まとめることとしよう。
今回はここまで!
次回は「ピンホールマーケティング」としてやってみたこと、について、いくつかまとめます!
Have a relaxed evening!