さすがの中国の労働者も「コロナ」にはかなわないか
コロナ肺炎の影響が大きい業種としてよくあげられるのが飲食と旅行業界です。旅行がらみで交通業界も影響を受けるでしょうし、映画館も締まっているのでこれも上げられたりします。そして、こうれらの業界へのサービス提供をメイン業務とする広告会社の影響も大きいでしょう。中国で58同城という会社がありますが、まさにこれら業種をメイン顧客とする会社です。中国のサイトをネットサーフィンすると必ず目に付く会社で、大手企業といえるでしょう。そしてこの58同城がリストラの動きを始めました。この環境なのでしょうがないという見方もあれば、従業員側からするとなんともやりきれない思いがするでしょう。なんか最近リストラ話が多いのですが、どうしてもこの動きが目についてしまうものでして。
今までに紹介してきた事例は数か月の間給料を50-80%にするというものでしたが、さて、58同城はどんな案を従業員に出したのでしょうか。58同城が従業員に提示した協議書がこれです。
待岗协议という名の協議書ですが、自宅待機協議書と翻訳すればいいのでしょうか。とりあえずは4月末まで自宅待機という文言が見えます。そして衝撃的なのが、この自宅待機期間の給料です。なんと北京の最低賃金の80%相当額の1,760元のみを支給するとなっています。いくら自宅待機だからと言って最低賃金を下回る給与ってありなんですか?と思いますが、なんとこれ、通達で認められています。
北京市人力資源社会保障局が2020年1月23日付で発表した《疫情防止コントロール機関に労働関係の安定をしっかり維持することに関連する問題に関する通知》(京人社労字[2020]11号)という通達の中で、「従業員の職場未復帰時間が比較的長い場合、企業は従業員と協議一致して、従業員の自宅待機を手配することができる。自宅待機期間において、企業は本市最低給与標準の70%以上を基本生活費として支払わなければならない。」という文言があり、これを活用したのではないかと思います。従来賃金の60%を提示されているというような情報もありますので、全従業員が最低賃金の70%というわけでもないのでしょうが、 しかし、今までの給料の70%ではなくて、最低賃金の70%というのはこれは厳しい。 中国の労働関連法規は労働者保護の色合いが強いイメージがありましたが、コロナはこれを吹き飛ばしたといえるでしょう。しかし背に腹は代えられません。本当の本当に苦しければレピュテーションリスクを恐れず同じようなことを考えないといけないでしょう。
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