スイカが美味い季節ですなぁ
瑞々しくて青臭くて甘いですなぁー
美味い!!
中国では水分補給でスイカ食べるらしいね
一玉ワンコインでゲトれるらしいね
何百億個つくるのよな
スイカの種を食べると臍からスイカが生えてくる。とか何とか脅されてたな。子どもの頃。
実は元ネタがある話らしい。
時は江戸時代、スイカはその頃には瑞々しさと甘味で完全に市民権を取っていたそうな。
夏のある日に上がった土左衛門の臍からスイカの芽が出てたらしく、担当の奉行は何を思ったのか遺体を陸に上げてスイカを育ててみる事にした。流石に遺体をその辺に置いておくのは見栄えが悪いって事で、奉行は非人頭に「この土左衛門から実が成るか育ててくれ。」と命じた。
奉行からすれば育ったかどうか知りたいだけなので世話もしたくないし、非人の住むエリアは離れているので匂いもしない。奉行なりのコミュニケーションだったらしく、現に民はもちろん、非人達からも好かれていたらしいのだ。
一月後に非人頭が奉行に報告に来たいとの知らせがあり、「それなら私が出向く。」と知らせを出した。すると非人頭から「来て下さるなら夜。またはまだ涼しい、日が昇る前の朝しかいけません。」と注文をつけた。
実はこの奉行と非人頭は幼馴染みとはいかないが、幼き頃より身分の垣根を越えた仲の良さであった。つまり旧知の仲だ。
「ほう…ならば言う通りにしようぞ。」
奉行は何度も非人頭の助言で助けられてきたのを忘れていなかったのだ。
夜露が草を濡らし、ニワトリが起きる前の時間に聞いていた待ち合わせ場所に非人頭は待っていた。
「すまない、ちと遅れた。」
「俺らは大体この時間から動いてるから何ともないけど、お偉いさんには堪えるだろ?」
「確かに眠い!が、平気だ!それよりすまなかったな…あんな願いを聞いてもらって…」
「いや、気に病む事はない。どっちにせよ死体の処理は俺らの仕事だから、隔離してほっておいただけだから。」
二人になると昔に戻るかの様に軽口を叩き会う。
「んでよ、早速だけど見て欲しいから付いてきてくれ。」
スタスタと歩き出す非人頭は何か訝しげだったのが気になったが、言われるままに後を付いて行った。
部落の中は確かに既に皆が働いていた。
部落の畑を過ぎると例の土左衛門があった。とは言っても原型は留めていない。しかし不思議と嫌な匂いもそこまでしない。
「先週までは酷い匂いだったぞ。ようやっと肉が失くなったからな。」
「おい!もしかしてあれがそうか?」
と土左衛門に近づこうとすると、「待った!」と腕を引っ張られる。
「まずは手を合わせろ。」
「…あぁすまん。」
「ってのは建前で、ほら、鼠がすごいんだ。」
土左衛門を守るように鼠がうじゃうじゃいるのに気が付くと「ひっ!」と後ろに飛んで下がった。
「実は成ってるけども食べないだろ?」
「いらんいらん!」
「では、焼くぞ。」と言い、非人頭はよく燃えそうな細木や枯れ草を撒き、火を放った。
鼠は緊急事態だと一目散に逃げ散った。
直ぐに火はおさまり、白骨とゴロンゴロンしたスイカだけが残った。
「いやはや、凄い成ったんだな…」
「そうなんだよ。しかも…ここ見てみろよ。」
「ん?んんん?んん!?」
やや20個はありそうなスイカの茎の元を辿るとなんと土左衛門のお腹の位置、臍から何本も生えている様だった。
「おいおいおい、これは…」
「どうやら水瓜を種ごと食べて死んじまったんだろうな。そして腹で芽が出て突き破ってって事なんだろうよ。」
「中からか…てっきり偶々プカプカ浮いてる土左衛門の目玉を突っつく鳥が臍に糞垂れて発芽したもんだと思ってたんだぜ?」
「あぁ俺らもそう思ってたよ。けど、水やりやってたタゴのチビ助がどんどん生えてきてるってからビックリしてよ。まぁどうせなら実ってから見せようかと思ってたんだけど、鼠の奴らも狙ってやがったんだな。」
何個か割ってみたが、至って普通のスイカだ。
「…もう水瓜は食えないな…」
「そうか?流石にこの水瓜は食えないけど、普通の畑の水瓜なら俺は食うぞ。」
「…ははは…」
奉行は家に帰り、上の者に報告する為に文をしたためた。
「水瓜の種は取ってから食べないと、腹から生えてくる。…と。よし。」
古女房が「あなたは水瓜大好きだったのに残念ね。」と。
「いや、ちょっとした好奇心で遺体を弄んだ罰だと思うさ。」
「そう?」
「そうさ。」
その時ピンときた。
「スイカ…」
「え?なんです?」
「いやいや、「巣」が「胃」の「下」でスイカだ!」
「?水瓜?」
「そう!名を改めよう!スイカの種を食べると腹から臍から生えていると伝えるにも意味が通るぞ!」
「あらあら。」
古くからミズウリと呼ばれていたスイカが、スイカと呼ばれる様になった逸話である。
明治に入り、西日本でよく取れることから西瓜と当て変えられたのだ。
奉行って何だよ。非人頭とかカムイ伝かよ。
めちゃくちゃな作り話でした。チャンチャン。