巫女としての助勤。

寺社仏閣が好きだ。
とはいっても今流行りの御朱印集めはしていない。


学生時代、長いこと神社で助勤をしていたことがある。年末年始の忙しい時期に、社務所やお宮の中、お守りや御札の授受所の掃除を行い、お祓いやご祈祷に来られた方用の木札を準備する。
御籤や縁起物用のテントにテーブルを設置したり、並べる。
榊は実がついているので1個1個取り外して玉串の状態にしておく。

大晦日の日は朝8時半から夜中の3時くらいまでほとんど休まずに働く。
紅白やガキ使は見られないし、巫女服を着るのにカレーをもりもり食べさせられる。苦しい。
特技の欄に「巫女服の早着替え」が載せられる自信がある。
袂にリップ(外に面していて乾燥するため)、ミンティア(カレーの後歯磨きをする時間がないため)、ハンドクリーム(乾燥)などなどをいれ草履を履き小走りで自分の持ち場へ着く。
この時にはお宮の前を素通りすることは出来ない。
1度止まり、一礼してからまた進む。

23時半から45分くらいまでには持ち場に着き、最終準備を行う。
お釣りの準備、御守りをいれる袋の準備、在庫の把握など。

私はお守りの授受所にいたのでずっと立ちっぱなしだった。
同僚、今では大事な友人と一緒にひたすら参拝客が求めるお守りの金額を相手が手に持っている段階で計算し、渡された瞬間に「○○円のお納めでございます。」と伝える。

神社ではあくまで神に助勤する者であるため、
いらっしゃいませ→おめでとうございます。(三賀日)
           おはようございます。   など
○○円でございます→○○円のお納めでございます。
ありがとうございました→ご苦労様です。

など独特な言い回しをするのだ。

あとは年末に掃除などをしていると、
翌年用の天照大御神の御札などが纏まったものを求めにくるついでに他愛もない話をしにくる方もいるので、お茶をいれ、上座に通し、お話を伺う。
これは毎年やっていると「今年もいてくれるのね〜」
など顔を覚えられる。


話を戻すが、とにかくお守りは忙しい。
ひっきりなしに人が来る。
さらに、各種御籤の補充、神社特有の絵馬などの補充など。


私が助勤していた神社ではとても美味しいご飯が出たのでそれを楽しみに働いていたが、お守り組がご飯を食べられるのは酷くて15時頃である。

ナポリタンが好きだった。巫女服で食べるナポリタン。よく弾かなかった自分。

4年ほど続けたが、コロナと大学の兼ね合い。後輩が育ったことで引退した。

デートスポットとしてどうか聞いてくる男子大学生たち(実際次の日に女の子を連れてきた)、毎年選んでいるお守りがないと嘆く方、目の前にあるのに「交通安全のお守りどこ?」、企業が来る場合は事前に「この種類のお守り40体用意しておいてね」、三賀日以降のゆっくりとしながら友人とパズドラのガチャをしゃがんで引く、毎年来てくれる神社のご親族の皆様やそのご友人(とても心強い。休憩行ってない?!と声をかけて必ず交代してくれる)

たくさんの方々との関わりはとても楽しかった。
そして自然と護られている気がした。


稲荷神社だが、みんながみんな悪い訳では無いと思っている。
少なくとも私が助勤した神社はとても良いところだった。山の上にあるからか空気が澄んでいて、どれだけ理不尽な目にあっても何も思わなかった。
護られていたのだろう。

今でも毎年初詣には通っている。
護ってもらっている気がするから。


行く前には必ずアポをとる。

「今年って巫女ちゃんたち何人くらいいますか??」



人数が増えると神社側の負担も増えるからこそ、
全員に回るようにちょっと食べられるものを持っていくのだ。


今は立地的にかなり行きにくくなってしまったが、
私が寺社仏閣を好きになった理由として
間違いなくこの経験があげられるだろう。


初詣に行った際にはぜひ巫女さん達に
優しくしてあげてほしい。

簡易的にとはいえその時は神の使いである。


変に絡まれるとそこに祀られている神様に


「さっきの人酷かったので犬のフン踏ませてください」


とか祈られてしまうかもしれない。

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