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大器晩成という言葉
私の親から聞いた話です。
私の名前を決めた後にたまたま占い師の方に見てもらったら、
「大器晩成型で、若い内は苦労するがいずれ大成する」
そんな運勢の名前だと言われたという話を何回も聞かされてきました。
子供の頃からその話を聞いていた私はそれを鵜呑みにして、
『いつかきっと何かしらで有名になったり成功したりするのかな』と思って生きてきました。
(息を吸う)………もう…………とんでもないです。
子供の頃から現在まで、ほとんどの同世代が手にしているであろうものを何一つ得られず、何一つなし得ていません。全てマイナスもマイナスです。
苦労するという言葉は合っています。不器用で要領が悪く何をやっても上手くいかずもがき続けてきました。
大器晩成という言葉の由来は「大きくて立派な器はできあがるのに時間が掛かる」ことから来ているそうです。
だとしたら私は大きい器かどうかは分からないけれどとにかくずーーーーーーっと器を作っている状態です。もしかしたら未だに土をこねている段階かもしれない。
「大器晩成という言葉はずるい」とつい嘆いてしまいたくなります。
既にそうなった人に言うのなら分かりますが、まだそうなっていない人に言うのは時に残酷です。
まるでいまいちぱっとしない人を絶望させない為にできたような、どこか気を遣っているような言葉に感じます。
『だ、大丈夫よ…何とかなるって。元気出しな?』
とでも言うかのような。
私も私でまんまと「もしかしたら、いつかきっと…」と期待してしまいます。
例えそれがどこの誰かも分からない謎の占い師の言葉だったとしても、それでも一縷の望みに賭けてしまうのです。
そしてこのまま、いつか…いつか…と言って器を作り(こね)続けたまま生涯を終えてしまいそうです。
うわああああん!!!!あんまりだよ!!!!
ところで、「自分も大器晩成型と言われるけど今のところ全然だわ…😞」という方にぜひ観てほしいディズニー作品があります。
「ムーラン」というアニメです。
古代中国が舞台の物語。
主人公のムーランは天真爛漫で賢い女性です。
当時は女性=10代のうちに家庭に入って夫を立てて子供を産み育てる、良妻賢母になるのを当然のように求められた時代。
また、男性の地位がずっと上で女性が男性に意見することは許されませんでした。
途中の歌にも出てきます。
"殿方が望むのは無口・従順・働き者。
育ちがよくおしとやか。"
"男は国守り、女は家守る。"
それだけでなく良い家に嫁ぐことが実家のみならず一族の名誉と栄光に直結します。
規模が違います。一人のまだ若い女性の小さな肩にのしかかる重圧はさぞかし凄まじいものだったでしょう。
ムーランも設定ではなんと16歳だそうですが、嫁ぎ先を決めてもらうために仲人さんのところへ向かいます。
仲人さんから「女性らしく気品と優雅さを持って相手の家族に気に入られるように振る舞うこと」などと言われてもムーランは上手くこなせません。
その結果大失態を犯して、大勢の人の前で「花嫁になれたところであんたなんか絶対家の恥を晒すに決まってるわッ!!!」と怒鳴られてしまいます。
さすがのムーランもとても落ち込んで、こんな歌まで歌います。
"ダメね 何のために生まれて来たの私
役に立たない娘
わかる ありのままの自分をごまかせないの…"
庭でしょんぼりしていると父親が現れます。
父親はムーランの隣にぽむっと座ると美しく咲いた花たちを見てこんな言葉をかけました。
「これは…今年も見事に咲いたものだ。
…でもひとつ、蕾のままだ。
最後に開いた蕾は、
一番美しい花になるというぞ。」
(アアッお父さん😭)
その後徴兵令が下されて、各家庭から一人ずつ男性を兵として差し出すように言われます。
ムーランは高齢で脚の悪い父親の代わりに何も言わずに家を飛び出し男装して軍隊に入ります。
まさかの今では飽和状態の男装物の先駆け。
一体どうなる……!?
気になった方がいらっしゃいましたらぜひぜひ本編を見て欲しいです!!!!本当に面白いです。
ムーランは子供の頃に何度も観ていた作品でしたが、
大人になってから見返すとまるで別物のストーリーに感じました。
何をやっても上手くいかずに社会不適合者となってしまった自分と重なり、あまりに刺さってボロボロ泣いた記憶があります。
これまで「大器晩成って言ったってさあ😭」と拗ねていましたがムーランの姿を見て自然と励まされていました。
ああ、一見社会から見ればダメダメな人でも、
それは社会が勝手に決めた小さな小さな枠におさまらなかっただけで、
その人の力や才能が最大限発揮できる場所、
その人に合った生き方が必ずあるんだ。
だったら少しでもそんな場所を探して自分にできることからやってみようかな、と勇気を貰えました。
成功するかどうかはおいておいて。
最後に開いた蕾は、一番美しい花になる。
ムーランのおかげでその言葉をすんなり受け取れました。器と同じくやっぱり蕾のまま終わってしまうかもしれないけど、それでも何かある度にこの言葉を胸に生きていこうと思います。
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