運動音痴でもできる乗馬生活 〜2、3鞍目
ある程度まとめて書く、と言っておきながら
2鞍目と3鞍目は今の私を作るのに大切な出会いなので丁寧に書きます
◯2鞍目
思いがけないドアミラー落下事件のために
乗馬生活を始めて早速1週間空いてしまったわけですが
それでも頑張るしかないのです
この日のお馬は会員さんではなくスタッフに対して噛みつきにいくタイプで
若い故の血気盛んなタイプというか
外面はいいというか…
という言葉がよぎりました
お馬の歩様は4種類ありますが
常歩は全脚がバラバラに動くので4拍子
速歩は斜めの脚が同時に動くので2拍子
ということを教わりました
下手くそなりにピアノとトランペットの経験がある私にとって
これは非常に分かりやすいアドバイスでした
常歩の揺れを感じてみると
なるほど、思ったよりも早い4拍子のリズムなのだと分かります
軽速歩のときに、スタッフさんが言ってくれる「立つ、座る」
これのリズムが2拍子であると分かれば
立つタイミングは把握したも同然です
実際、タイミングは合うようになりました
問題は…
揺れるからこわい!
自分の足が前に流れるから立てない!
ということでしょう
・膝は軽く曲げたまま
とよく言われるんですけど
いや膝曲げてたら立てなくない?というのが運動音痴の感想です
・おへそを斜め前に出すイメージで
とも言われるんですけど
そしたら腰反りません?となりまして
意味が分からないんですよね
そこに
・鐙の上に立つ
なんて言われるともう訳が分かりません
・反動で持ち上げてもらう→から思ってるよりも立ち上がらなくていい
ということをなんとなく感じつつ
まぁそれなりに終わります
ホルダーを持たずに軽速歩してる人たちを信じられないものを見る目で見ておりました
◯馬装講習
2鞍目の後は馬装講習というものを受講しました
とにかく鞍の付け方を覚えないと!という気持ちと
騎乗券使わないでお馬と触れ合える!という邪心で
20鞍を迎えるまでの間、12回も受講していました
この日出会ったお馬には本当にお世話になりました
12回のうち8回は彼に習いました
彼がいなければ、今の私が鞍をつけ、頭絡をつけられるようになることはなかったでしょう
お年のため、レッスンには出てないのですが、馬装練習のために出てきてくれます
本当に優秀な子で
鞍を乗せるときには、わざわざ腰を落としてくれました
ゼッケン→ゲル→ボア→鞍
鞍は重たいので、屈んでくれるととても助かります
(とはいえ持ち上げなければならないことに変わりはないのですが)
腹帯はさすがにピクリと反応はしますが、「素人どもめ…」と言わんばかりに静かにしていてくれます
なんと頼もしい貫禄
この日は頭絡にも初挑戦です
①手綱を後ろとびの要領で頸にかける
②無口頭絡を外して手綱の間に垂らす
③頬革を持って開いて馬の顔を迎えにいく
④右手で鼻の上でまとめて持ち、左手に馬銜を載せて馬の口元に持っていく
⑤口を開いたらかませて項革を耳の後ろに通す
⑥鼻革をしめる(指1本分の余裕があるように)
⑦喉革をしめる(こぶし1個分、頬にあたって前にずれない程度の余裕があるように)
⑧無口頭絡をつける
⑨手綱をねじねじして、ねじった間から無口頭絡の金具を通してとめる
終わったら、身だしなみを整えるためにたてがみをしっかり出してあげます
講習会の大ベテラン
彼はとても優秀で協力的なので、馬銜を持っていけば勝手に口をあけてくれます
お顔が大きいので、鼻革はきつそうなんですけど、そこは走るわけじゃないからいいと許されます
頭絡をつけるときのポイントは
「怖がらずに馬の前脚前、顔の横に身体ごと入ること」
と理解しています
遠いと扱いづらいし、蹴られるリスクが高まりますからね
(近すぎていつか噛まれるんじゃないかと思ってもいますが)
頬ずりできるくらいの距離、と言われて私がグイグイ行けたのもありますが
この時に私のエアバッグベストから消えることのないお馬の皮脂が付きました
馬装講習、レッスン前の緊張感とは違い
終始和やかなムードというか
協力的なお馬が選ばれてくるので油断は大敵ですがまずもって安心感があります
5回を過ぎた辺りからはお馬との触れ合いを求めて参加してました(笑)
この日の彼とは何度も会ったこと、クラブへ通うたびに挨拶に行っていたことから
すっかり仲良しになりました
たぶん彼もそう思ってくれていたと思います
馬房に行けばすぐ近寄ってくれたし
(お年のためおやつ禁の子でした)
洗い場で会うと歓迎してくれました
頸、というかたてがみの根本をかくと気持ちよさそうに頸をのばして
やめると「もっと」と言わんばかりに寄ってきて
手が白くなるまでやってましたね
そんな彼は8月の終わりにはいなくなってて
養老牧場へ引き取られていったそうです
広いとこで、美味しいものたくさん食べてのんびりしててほしいな
いつか会いに行きたいな
と思っていたのですが
先日、虹の橋を渡っていたことを知りました
9月の終わりだそうです
お年なのはプロフィールを見れば一目瞭然なので
これが最後になるかもしれない、と思って毎週会いに行ってはいたのですが
広いとこで往生できたのならよかったという思いと
ちゃんとさよならをしたかったという思いとで
未だにグズグズしています
最期は幸せだったのかな
それでも、君に出会えなければ、私は馬装なんてできなかったよ
虹の橋の向こうで、痛みも苦しみもなく、広い草原を駆け回っていてほしいな
◯3鞍目
2鞍目の翌週
こちらは指導員さんとの出会いです
とにかく基本姿勢が大事だから、という話で
①鐙を足裏で真っ直ぐ踏むこと、指は曲げず、足首は柔らかく使うこと
②腹帯のすぐ脇が脚合図の位置であること→鐙を踏んだまま足を真っ直ぐ地面に降ろした位置
③背骨を真っ直ぐにする→腹筋や背筋はいらない、背骨を一つ一つ積み上げるイメージ→勝手に頭の位置が高くなり、遠くに目線が行く
④手綱の長さは口に引かれているのを感じられる程度
これは運動音痴にも分かりやすい具体的な指示でした
手綱の話や脚合図の位置は正直よく分かってませんでしたが
正しく座っていれば余計な動作はいらないということです
腹帯の上じゃないとこはどこだ?とか考えないでいいわけです
軽速歩の助言は
・膝は曲げた状態をキープして、手の位置にへそを出す
でした
膝を曲げておくとは?ですが、手の位置にへそを出す=へそを斜め前に出すですね
馬は走ってるから焦らないで、と言われたのはほっとしました
そして走る、走る、走る!
サークル内を30周はしました
ぐるぐる回って、息がめちゃくちゃ切れました
でも30周する中息を止め続けることはできませんから、なんとか呼吸をしていたようです
とにかくやる中で、走り続けなきゃ!と思うから姿勢ができるようになるそうです
疲れてきたら余計な力も抜けるので、リラックスして乗れるようになるとか
このときは正直「正気か?」としか思ってませんでした
初心者に鬼畜すぎるぜ…!とも
でも30周もやってる中で、何歩かは疲れずに乗ってる瞬間があったんですよね
「正しい場所、タイミング、姿勢で立てると疲れないんだ」と気付いた瞬間です
キツすぎたのでもうレッスン取るのやめよ…とこの時は思ったんですが
ドM心をくすぐられたというか
3鞍目での地獄の周回がどこか頭から離れなかったんですよね
上級者のレッスンを持ってる方でもありますし
「この人のレッスン受けたら上達するわよ!」と通りすがりの上級者が我々素人へのアドバイスをさせられた時におっしゃってましたし
30鞍過ぎたあたりで「とにかく走らないと自信もってできるようにならない!」と思ってからめちゃくちゃお世話になりました(今もお世話になってます)
この日に乗った子が5級ライセンス試験のときの相棒になるとは
到底思っていないのでした