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タイムマシン・シンドローム

最近会社で過ごす一日が早い。

楽しくて、やりがいがあって、いつの間にか一日が終わっちゃうんですよね!キラりン!!
このような、必死に青春を取り戻そうとしてのチープな感想ではない。
本当に、ただただ、一日が早いのだ。

ちょっとしたメールを打っただけで、20分近く経っていたりする。
タイムマシンのごたる。
これだけ時間感覚とズレると、ちゃんと目的の時間にメールを送れているのか不安になる。未来の上司から返信があったらどうしようか。
「お世話になっております。過去から失礼致します。」とでも言えばいいのか。
惜しくも弊社の研修は時空の歪みへの対応までは網羅されていなかった。
あぁタイムマシン・シンドローム。

この病気は、期日が遠い仕事だけ抱えている時は正直ありがたかった。なんなら人より素早く月給を確保していると天狗になっていた。
しかし、今。
遠かったはずの期日が目前まで迫っている。どれもまずまずの進捗。
その焦りからか、その日がもっと早くなる。
今日なんてお昼を食べてふと気づいたら定時だった。これは重症だ。
もちろん仕事は捗っていない。

空っぽのエクセルに脳死で数字を羅列させ、病源を探る。
最近夕暮れを見てないからかもしれない。

夕暮れは時間感覚の軸だった。
朝でも昼でも夜でもない、なりそこないの隙間時間。そんな時間を背景に朝昼を振り返り、夜の振る舞いを考え、その日を感じていた。
夕暮れがその日のひっかかりになっていた。

しかし、出社時はどうだ。
外界が見えない状態でのデスクとトイレの往復。愛想笑いと腰の痛みのローテーション。景色なんて変わらない。
ひっかかりがなく、その日が滑り落ちていく。

夕暮れを存分に感じていた子供の頃は、その日が長かった。
ちょっとしたメールを送ったら少し未来へ行くのなら、長めのメールを受信したら過去に戻れるかもしれない。

あぁタイムマシン・シンドローム。
子供の頃とまでは言わない。期日に余裕のあるその日まで、僕を連れ去ってはくれまいか。

ふと気付くとエクセルの数字は1行ずつズレていた。

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