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過去最多293人、演劇が人命に関わるときを考える~100日目

 都内新規感染293人、2日連続で一日あたり過去最多を更新
 「神奈川警戒アラート」の発動、神奈川県新規感染43人
 コロナ感染で死亡、初の労災認定(海外出張していた)
 「Go to トラベル」東京除外の波紋広がる

 ※「〇〇日目」の数え方が間違っていて修正。くしくも100日目となった(また間違っていたら修正する)。東京都に緊急事態宣言が発令された日の翌日(=午前零時に宣言の効力が発出された日)からとなる。

京アニの火災に関する建築防災のシンポ

 記念すべき?100日目、既にほかのネタをほぼ書き終えていたが、違うことが頭に浮かんだ。

 先ほど、「シンポジウム 京都アニメーションの火災を考える~建築防災の視点から~」を、オンラインで途中からだが、聴講していた。

 亡くなられた方のご冥福を祈り、けがをされた方の回復を祈ります。

 不幸な放火に遭ってしまった京アニの建物(第一スタジオ)は、1階から3階に続く吹き抜けのらせん階段と、もう一つの屋内階段を通して、ガソリンへの放火による煙が急速に上にあがり、避難が困難になった。
 建物自体は建築基準法や消防法令に違反するものではなく、事務所は防災への取組を熱心に行い、消火避難訓練もちゃんと実施され、消防署長表彰を受賞したこともあったという。
 それでも、起きてしまった。今後どうすればいいかを話し合うために専門家が知見を集め、話し合うシンポだ。建築、設計、都市計画、消防、防災の専門家らがオンラインで出席、発表。
 その発表の中で、京都市消防局の方が、「思い出すのもつらいと思われますが、避難された方から、役に立つなら、と、その時の様子を聞き取りさせていただいた」(詳細な表現は違うかも)と聞いた時は、涙が出た。今、書いていても、涙が出る。話していただいてありがとうございます。

専門家の知見を突き合わせ、解決を目指す空間の潔さ

 シンポでは、燃え広がりを食い止め、すみやかに避難するための建築設計上の課題(ハード)、及び、避難行動など(ソフト)を話し合った。
 理系と呼ばれる中でも(理系、文系の分け方にも問題が?)、建築は生身の人間が生活する実空間を扱うもので、設計図や計算式を除けば(まあ、それが難しいのだが)、文系でも、理解しやすい、と自分は思う。
 「平易な言葉」と「それほど難しくない専門用語」を用い、専門家の持つ知見を突き合わせ、「よりよい解決」を探る。また、議論の仕方やその前提条件を共有し、その視点がずれている場合は指摘し、整理しなおして議論を進める。
 忖度もそんなにないだろう、素直な論点出しの、久々にわかりやすい空間を見た。語弊を恐れずに言えば気持ちいい。この世界の方が、自分には向いているのかな。

人命に関わる、という覚悟のある仕事

 多分、演劇の世界の、「わかりやすいことがいいとは限らない」「言葉とは何か」「演劇とは何か」「人間とは何か」などというところ(でも、多分、そこがみそ)に、自分が疲れている。「共通の言語を持つ」というところから、きちんと定義しなければいけない。

 また、専門家という概念が、違うのだ。用いる言語や議論の仕方は、始める前に「これですね、一番一般的なやつ」とルールができたうえでの専門家と、職人のような専門家、の違い。
 ……だけではない、と思った。
 その話し合い、その仕事に「人命」が関わっているか。
コロナ以前から、
 建築、土木、交通、医療、介護、食品製造、製品・部品製造等、警察、消防、教育、保育、飲食(追加)……一歩間違えれば、人命にかかわる仕事が、ある。何かが起これば、頭を下げて謝罪されている。
 今日のシンポの方々も、自分たちの話し合いが人命救助につながる、逆に言えば、いい加減な話し合いだと人命に関わる、と覚悟してやっていた。はず。

演劇が「身体的人命に関わる」とき

 でも、演劇はじめ、芸術文化は直接人命にかかわらない(だから、不要不急と言われてしまうのだけど)。それを観たせいで精神的に落ち込んでしまって……という場合は、どうとらえるか、一応別にしておく(サブリミナル効果は明らかに問題だが、)。
 しかし、今、劇場が、そこに人を集めることで、クラスター化するのではないかという危機に直面し、初めて(?、劇場火災などはあるのか)、自分たちの仕事が身体的な人命に関わるという事態を経験しているのではないか。
 そう、精神的な人命は、別にして。

 そんな、気がした。
 これは、演劇関係者に伝える。
 そして、自分も、もちろん、考えていく。
※ちなみに、平田オリザさんらを批判・揶揄する立場ではないので、変に切りとって、解釈しないでくださいますよう。あの方の発言も、切りとられた部分があるようだし。

 皆様のご健康を。

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