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映画「私の少女」ふたたび

映画「私の少女」(2014年韓国)

先月、goodmanstory(ペ・ドゥナの所属事務所)のインスタで、好きな作品とその理由を募集する企画があった。「好きな作品」がたくさんあり過ぎて、悩んでいるうちに締め切りが過ぎてしまった。

言っとくけど、日本で見られるペ・ドゥナ作品をすべて見ている私にとっては、そう簡単に好きな作品なんて絞れないから!(笑)
絞れないからnoteを続けているんだよな、と考え直し、ずーっと心の中で温め続け、順位を入替し続けている「ペ・ドゥナ作品マイベスト10」をそろそろ更新する時期だな…と思っていた矢先に、

キム・セロンの訃報が届いた

24歳の早すぎる死に胸が痛む。2014年の「私の少女」では、ペ・ドゥナとW主役と言っても過言ではない名演技が忘れられない。

特に、埠頭で白いワンピースで一人で踊っている無垢な姿。一般的に13-14歳くらいの思春期の女の子は誰でも、可愛らしい子どもの体つきから大人の体型に変化する時期で、手足ばかりが細長い不思議なバランスの体型で何を着ても似合わない。

まさにその時期のキム・セロン、役柄上は無理に大人になることを余儀なくされ、でも子どもっぽさが残る夢中で舞う姿が美しく個性的で、ペ・ドゥナ演ずるヨンナムと同じように、思わず「ドヒや~」と感嘆してしまう。

つらい思い出の田舎町を車で離れるラストシーンに、どうか二人とも幸せに暮らしてほしいと祈る気持ちでしたが、そのドヒが亡くなったかのような気持ちに陥ってしまった。

チョン・ジュリ監督やペ・ドゥナもきっとこの作品を思い出しているだろうな、と思うとつらい。

「ペ・ドゥナ作品マイベスト10」の1位は、

この訃報を知る直前に、やっぱり「私の少女」だな、と決めたところだった。理由は、勝手にペ・ドゥナのターニングポイントとも言える社会的問題を包括する作品だと思っていること、ほかの作品に比べずば抜けてぺ・ドゥナのビジュアル的な透明感がある、他の役柄のなかでももっとも孤独で悩める人物であり、のちに続く警官役(シリーズ?)のなかでもとりわけ優しい人だから。

映像で残り続ける姿

あのラストシーンでの祈りは届かなかったのか?という悲しみを心の中に感じていた私だが、

でもまてよ、
「私の少女」の映画の中で、全身でその清らかさとしなやかさを表現していたキム・セロンの思春期のその存在の煌めきは映像の中に残り続けて、誰かの心を打つんだな、と考えると、それは素晴らしいことのようにも思えた。

そんな意味でも、ペ・ドゥナ マイベスト1位は「私の少女」としたい。
キム・セロン追悼の気持ちを込めて。

(で、結局、2位~10位はそう簡単には決められずにいます)


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