宅建士試験合格講座 不動産登記法 > 登記のしくみ
民法で学んだように、不動産に関する物権の得喪および変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができません。この登記に関する制度を定めるのが、不動産登記法です。不動産登記法からは、毎年1問出題されています。
第1節 登記のしくみ
■ 1 不動産登記法の目的
不動産登記法は、不動産の表示および不動産に関する権利を公示するための登記に関する制度について定めることにより、国民の権利の保全を図り、もって取引の安全と円滑に資することを目的としています。
■ 2 登記所および登記官
(1) 登記所
登記所とは、登記の事務をつかさどる役所です。具体的には、不動産の所在地を管轄する法務局もしくは地方法務局もしくはこれらの支局またはこれらの出張所です。
(2) 登記官
登記官とは、登記所における事務を取り扱う公務員です。具体的には、登記所に勤務する法務事務官のうちから、法務局または地方法務局の長が指定する者をいいます。
■ 3 不動産登記簿
登記は、登記官が登記簿に登記事項を記録することによって行います。
(1) 登記簿
登記簿は、登記記録が記録される帳簿であって、磁気ディスク(コンピュータのハードディスクなど)をもって調製するものをいいます。
(2) 登記事項
登記事項は、不動産登記法の規定により登記記録として登記すべき事項をいいます。
(3) 登記記録
登記記録は、表示に関する登記または権利に関する登記について、1筆の土地または1個の建物ごとに作成される電磁的記録をいいます。
(4) 登記記録の構成
登記記録は表題部と権利部に区分して作成されます。
① 表題部
表題部は、登記記録のうち、表示に関する登記が記録される部分をいいます。
表示に関する登記は、不動産の表示(不動産の物理的現況を明らかにするための登記事項)に関する登記をいいます。具体的には、次のような事項が記録されます。
土地・・・不動産番号、所在、地番、地目、地積など
建物・・・不動産番号、所在、家屋番号、種類、構造、床面積など
建物の名称があるときは、その名称も当該建物の表示に関する登記の登記事項となる。
② 権利部
権利部は、登記記録のうち、権利に関する登記が記録される部分をいいます。権利に関する登記とは、不動産についての一定の権利に関する登記をいいます。
登記することができるのは、次の権利です。
① 所有権 ② 地上権 ③ 永小作権 ④ 地役権 ⑤ 先取特権
⑥ 質権 ⑦ 抵当権 ⑧ 賃借権 ⑨ 配偶者居住権 ⑩ 採石権
権利部は、さらに甲区と乙区に区分されます。
甲区は、所有権に関する事項が記録され、乙区には、所有権以外の権利(地上権・抵当権・賃借権など)に関する事項が記録されます。
抵当権、賃借権及び配偶者居住権は、登記することができる権利に含まれる。
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?