現代のポータブルスキルは交渉力。そんな交渉術を勉強するなら「この3冊を絶対に読め、そしてこの3冊以外は読むな」の3冊。
しゅんしゅしゅんです。
「あなたは自らの手で人生を好転させる力が欲しくありませんか?」
まことに怪しい書き出しをしたくなる力を、いまさらながら見つけました。「交渉力」です。正確に言うと、ビジネスパーソンにとって必須最大の力であるとて過言ではないと見直しました。
今の僕の職種は、上司・部下・他部署との社内交渉がメインですが、4月からの転職後は、がっちり社外交渉をする職種になる。そんな背景もあってか、交渉でもインプットしておくかと思って、交渉周りの本をディグって読み漁りました。
そして、ハマったわけです。
ということで、交渉術を本で勉強するなら「この3冊を絶対に読め、そしてこの3冊以外は読むな」の3冊をご紹介します。
この3冊を全部、この順番で読むことが大切です。
-----
1、武器としての交渉思考
2、戦略的交渉入門
3、プロフェッショナル・ネゴシエーターの頭の中
-----
そもそも交渉とはなんでしょう?
交渉とは「立場が異なり自由に意思決定できる二者が合意を目指してやり取りするコミュニケーション」です。「意思決定する人間が相手と自分の2人いること」、そして「その両者が下す判断が同じ結論にならなければいけない」ところが特徴です。
片方しか意思決定をくださない「指令」とは違う。両者が意見を戦わせ第三者が勝者を判定する「ディベート」とも違う。お互いが親しくなるために、微妙な話題に触れず、楽しい雰囲気を持続させるような「会話」でもない。
交渉は、お互いの意見の違いや利害の相違、そして立場の違いを乗り越えて、何らかの合意を形成する「対話」なのです。
こうやって交渉とは何かを突き詰めると納得できるのですが、人生は公私を問わず交渉の連続ということです。
会社で働くことなんて、イコール交渉を行うことといっても過言ではない。「武器としての交渉思考」の著者である瀧本さんは「今後付加価値を持つビジネスはすべて交渉をともなうものになる」とまで言い切ってます。
ところで、NewsPicksパブリッシングから刊行された「他者と働く」。異例の大反響らしいこの本を少し前に読みました。
本書は「対話」について書かれています。さまざまな問題は「技術的問題」と「適応課題」に分けられる。前者は、問題の原因がわかれば技術的に解決できるものでロボやAIに代替される仕事。そして後者は、技術的問題以外の解決困難な問題で不合理な人間心理が深く絡み合うもの。
適応課題こそが人間がやる仕事であり、この課題を解決するためには、人間同士のわかりあえなさに向き合い、立場の違いや利害の違いを理解し、解決策を模索していくことが大切。その行動を対話と呼ぶのである。
…そんな感じの内容だったと思う。
ああ、これもつまりは交渉とおんなじだね。
何が言いたいかというと、今でさえ仕事に交渉は欠かせないのに、今後は人がやるべきクリエイティブな仕事として交渉がもっと必要になるってこと。
語学や会計より役に立つ、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングや仮説思考や論点思考とかと同じレベルで大切な力。それが交渉力かもしれない。仕事ができるはイコール交渉力があるの時代なのかもしれない。
なんだけども、体系だって学ばないのが交渉であって、属人的で経験知に頼っているのが交渉だとも思う。つまりはチャンス。令和のポータブルスキルは交渉力ですよ。
ここいらで、ご紹介した3冊に戻ります。
「プロフェッショナル・ネゴシエーターの頭の中」は少ない文字量で大切な考えやテクニックを凝縮した本です。
交渉学は心理学、社会学、行動経済学に大いに影響をうけていますので、レビューの中には「行動経済学の本を読んだ方がマシだ」とか「『影響力の武器』の劣化版だ」ってものがありますが、僕の見方は違います。
心理学、社会学、行動経済学の数多ある考えの中から、日常や仕事に直結する交渉に必要な考えだけを抽出し、交渉への活かし方を教えてくれる。筆者にしかできない厳選にこそ価値がある。「明日からこれをやろう」につながる具体で実践的な内容なんです。
ただ厳選しているからこそ、交渉の全体像が見えていないままにこの本を1冊目として読むと、心理学?営業?なんの本?って感覚が強くなる気がします。ぼやけるからあまり頭に入ってこない。
だからこそ1冊目は「武器としての交渉思考」がいい。交渉とは何か、交渉力がなぜ大切か、交渉力の本質は何かを授業のように分かりやすい語り口調で教えてくれます。
交渉の全体像が少しつかめたら、理論的・網羅的に補強するために、2冊目として「戦略的交渉入門」を。理論寄りなんだけど、奇跡的にわかりやすい。ここまでの2冊で交渉の本質は完全に理解できます。
そして、ダメ押しの3冊目として「プロフェッショナル・ネゴシエーターの頭の中」を読めば完璧っす。
ちなみに3冊とも「ハーバード流交渉術」が源流です。だから「ハーバード流交渉術」的な昔からのロングセラー本は読まなくて大丈夫。内容重複するので。
かつ「ハーバード流交渉術」的な本は、とにかく回りくどくて、小難しい。言っていることが一緒なら、本質と具体が圧倒的に分かりよいこの3冊でいいってことです。
これ以上は本を読まずに、実践あるのみ。実践の中で経験と胆力をつんだらいい。何か読むとしたら、交渉学の背景にある「影響力の武器」や「行動経済学系の本」とか「心理学系の本」ですね。
3冊読むとですね、交渉の世界と交渉が上手い人のイメージがガラっと変わりますよ。厳しい世界であり、なんとなく避けたかった「交渉」のイメージが、ポジティブで楽しい、クリエイティブなイメージに変わりますよ、きっと。
そしたら「あなたは自らの手で人生を好転させる力が欲しくありませんか?」も、まことになるかも。