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湯上がりdiary

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八十八ヶ所のお湯屋の記憶。マガジンでは入湯順に並べてあります。
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はじめに

 上京して2ヶ月になる。  温泉道の名人になってからも同じぐらいの月日が経った。こっちで…

五井
2年前
4

20_夏夕 -松原温泉(浜脇)-

 日の出温泉から10号線を引き返し、永石通りへ入っていく。  少し進むと、左側に白い建物…

五井
1か月前
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01_きょうは二本 -わくわく温泉かっぱの湯(亀川)-

 疲れを癒すため、湯屋に行くことにした。  時間はとうに22時近く。夜遅くまでやっている…

五井
2年前
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06_年の瀬、晴れの日 -餅ヶ浜温泉(別府)-

 年に二度、夏と冬に部屋中をぞうきんがけするようにしている。    夏はからりとした暑さで…

五井
2年前
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07_昼下がりの湯 -京町温泉(別府)-

 予定が空っぽの休日は、何も考えずに過ごしたい。  最小限の家事をやり終え、ひと息つく。 …

五井
1年前
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08_日々、いい湯 -幸温泉(別府)-              

 手足がかじかむ冬のある日、気づけば朝まで机にかじりついていた。時刻はまもなく6時を回る…

五井
2年前
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12_春の夜湯 -永石温泉(別府)-

 うららかな春の日、ひと足早く大学の友人たちが卒業した。久々に会う顔ぶれはたくましくてかっこよかった。えんじ色のガウンと角帽がよく似合う。    食事を楽しみ、夜もふけ、ひとりの時間になった。今日は帰り道にどこかの温泉に行こうと決めていた。海岸沿いの10号線から永石通りに入る。すぐ左手に湯屋が見えた。半分ほど開いた窓から湯気がこぼれる。今日の気分はここではない。次の機会に–、と声を漏らして素通りした。この辺りは街灯も少なく、夜に一人で歩くにはちょっぴり怖い。音楽を聞いて気分を

17_行きつけの湯 -富士見温泉(別府)-

 境川を泳ぐ鯉のぼりたちも役目を終えた5月の中頃、今月はまだ温泉に入ってないことに気づい…

五井
2年前
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18_ひだりてみぎて -天満温泉(別府)-

 今年は例年より早く梅雨入りした。  まだ五月中旬というのに、空の色は濁っている。海沿い…

五井
1年前
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19_梅雨間の晴れ湯 -日の出温泉(浜脇)-

 梅雨の時期、休日と晴れの日が重なると心がはねる。今日は少し離れたお風呂に入りに行こう。…

五井
9か月前
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21_真夏のかぶり湯 -寿温泉(別府)-

 あついあつい、と言いつつもお湯をかぶるとさっぱりする。    このところ雨続きで、なかな…

五井
1年前
5

22_夏の湯上がり -海門寺温泉(別府)-

 夕方からの用事も無事に終わり、晴れて自由の身となった。  時計を見るとまもなく21時。あ…

五井
2年前
2

24_小道のかくれ湯 -鉄輪すじ湯温泉(鉄輪)-

 ある冬の夜、鉄輪の温泉街を友人と歩いていた。夜になると、あちこちから昇る湯けむりがいっ…

五井
2年前
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51_一度きりの湯 -野口温泉(別府)-

 堕落した午前を過ごした。  やりたいこと、やらなければならないことは山のようにある。  外では雨が降っていた。久しぶりの雨だ。  ふと、石田千さんのエッセイ集『夜明けのラジオ』の中に収録されている「雨の名所」のことを思い出した。  この中で「天窓のある銭湯」をあげていた。思い返せば、これまで雨の日に温泉をめぐったことは数年前の一度きりだった。これはまたとない機会かもしれなかった。  そうと決まれば話は早い。洗面道具一式と傘をもって外へ出た。  野口温泉。単純温泉。ジモ泉