『マリンバとさかな』 第二話
十月。中庭の金木犀も鮮やかなオレンジ色の花を咲かせ、秋の香りを連れてきた。昼休み明けの古文の授業ほど、眠たくなる時間はない。先週席替えをして後ろのほうの席になったから、何人か頭が上がったり下がったりしているのが分かる。朝はあんなに晴れていたのに、徐々に雲行きが怪しくなってきて、まだ14時過ぎなのに教室は電気をつけていないとうっすら暗い。これはひと雨来ちゃうな。降ってきちゃったら自転車は学校に置きっぱなしかな。
私は授業のことなんてちっとも耳に入っていなかった。入る隙もな