見出し画像

メガネ店のメガネ思想統制

メガネがひん曲がってしまったのでメガネ店に行って直してもらいました。メガネのメンテナンスは無料でやってもらえるみたいなのですが、「本当にいいの!?」と毎回思います。

メガネ屋の店員はどういうわけか絶対にメガネをかけているような気がします。統計をとったわけではないのですが、自分がこれまで見てきたメガネ店の店員は全員メガネをかけていました。この人はメガネをずっと愛用してるんだろうなという店員さんはもちろん、中には明らかにあなたはメガネをかけるようなキャラじゃないでしょうというような店員さんもメガネをかけています。メガネユーザーからすると、「そんな無理に僕らの世界に合わせてくれなくても」と思います。

「自社のサービスを店員自身が使っているかというのが一瞥しただけでわかる」という点において、メガネ店は特殊な面白さがあります。ユニクロの店員がユニクロを着ているかはわからないですし、ラーメン屋の店主が毎日ラーメンを食べているかどうかも分かりません。しかしメガネ店の場合、メガネをかけているかどうかはすぐわかります。もちろんJINSの店員がZoffのメガネをかけているかもしれないという点では「自社のサービス」かどうかわからないので、ユニクロの店員やラーメン屋の店主と比べるのは違うかもしれません。どちらかと言うと、「メガネをかけていない人がメガネ店でメガネを売る」のは、「裸族がユニクロで勤務する」「口がついておらず光合成で生きる人間がラーメンを売る」という方が比較になるのかもしれません。(極端ですね)

メガネというのは性質上、目が悪い人間にとっての必需品でありながら、目が悪くない人にとっての嗜好品です。コンタクトレンズの使用も含めて「メガネをかける必要がない人」はいますが、伊達メガネの使用も含めて「メガネをかけない理由を持つ人」は少ないのではないかと思います。ほとんどの人は、メガネをかけるかどうかを選択することができるのです。したがって、「お客様の気持ちを知るために自分もメガネをかけなさい」「メガネ店の店員たるものメガネをかけるべき」という言説が浸透する余地がありそうで、そういう社内教育が行われているのではないかという妙にリアリティのある想像が捗ってしまうのです。単純にノルマ未達でそれを埋めるために自腹で買っている可能性もありますがそれはそれで嫌な話です。

これは上層部からの圧力というより、もっと自然な従業員たちの経営努力の成果である可能性もあります。自分自身がメガネの魅力を知らないと売り込めないから自分用のものを買ったですとか、メガネを売り込んでいるうちに自分も欲しくなってきちゃったから買ったですとか、そういう自発的な要素もあると思います。これらのことをすべて「思想統制」の結果であるとするのは、メガネ店の従業員のみなさんの主体性を低く見積もっていることに繋がり、失礼なことであるかもしれません。ですが、「統制が働かずともそうなっている」というのは、「統制の結果こうなった」ということよりも不気味であるとも言えます。無意識下に権力が浸透していると言えるからです。みなさまもぜひメガネ店でメガネを購入し、メガネ率が本当に高いのか確認してきていただきたいです。もし反例が見つかったら安心できそうなのでこっそり教えてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?