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ima_doco
100万円の服〜価値は自分が決めるもの
「僕は100万円の施術をしています。」
そう言う彼は
美しい大島紬の作務衣を着ている。
話している相手は
その作務衣のデザイナー
彼は自分が着ている作務衣を作ってくれた彼女に会うために、自宅を訪問したのだった。
彼女は、これまた美しい総絞りの着物でリメイクされたアロハシャツを、彼の目の前に出して
「奇遇ですね。私も100万円の服を作ってます。」
冗談混じりで言った。
彼は目を輝かせて
「そうなんですか!!」
「じゃあ僕にこの服を着させてください。」
「そして、あなたに100万円の施術をさせてください。」
彼の反応に、彼女は目を丸くする。
口は開いたまま。
彼女のリメイクした服は
決して100万円で販売はしていない。
そして100万円の施術ということも
もちろん冗談だと思っている。
彼は続けて話しを続ける。
「僕は100万円の服を着るんだ。」
「こんなに素晴らしいことはない!!」
果たして
彼は本氣で「100万円」と言ってるのでしょうか。
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彼の冗談だとは思えない眼差しに
彼女は気圧される。
「私なんかが、、、」
100万円という大きな価値を目の前に
彼女は自信をなくしてしまう。
「”謙虚”と言えば、とても聞こえが良いかもしれません。」
「でも”謙虚”が邪魔をすることもあります。」
「あなたはとても素晴らしいことをしています。」
「あなたの服を見ればわかる。」
「私には、その価値があると思います。」
「あなただって、そう思うでしょう?」
そう言って彼は
総絞りの着物でできたアロハシャツを
愛でるように優しく手で撫でる。
美しい職人技術が凝縮された
日本の伝統衣装である着物。
それが現代でも愛され、紡がれている。
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「自信を持ってください。」
自分の心から生み出したモノに
価値をつけられるのは、自分だけ。