デンマーク滞在記④ 特別学校(特別支援学校)「Team V」
さやかさんからのデンマークの教育基本法の話。印象的だったこと。
・“保護者との協力のもと”が先頭にきている。
子どもの一大プロジェクトに関わる一人としてそれぞれが協力しようとしている関係性を表している。
・“人として全面的な発達を”。
知識技能だけではない。授業は手段であり目的ではない。
一人ひとりにあった学習を、そのための教材を。
・“democracy”
Democracyは学ぶものではなく、生活の中に根付いているものであり、経験を通して肌に身に着けていくもの。社会に参加できる人であること、自分の考えがある人であること、政治に関心がある人であること。Democracyを経験する機会をつくる、というよりも、democracyが生活の中にあるというイメージ。自分の考えがある、その上で対話ができる。何を食べたいか、どのくらい食べたいかも自分で選ぶ。
特別支援学校(Team V)について
普通学校が同じ敷地内にある。その中の特別支援学校。
校舎内の風景
どのような子が在籍しているのか
全員知的に障がいがあり、通常のクラスで週9時間以上の支援が必要な児童生徒。デンマークの学校教育法で、通常のクラスで週9時間以上の支援が必要なら特別支援教育の対象と決められている。
身体的な障がいだけならヘルパーをつけて普通学校で学んでいる。重度重複障害・心身障害児クラス、自閉症スペクトラムクラス、知的発達障害クラスに分かれている。
2013年「インクルージョン16」という3年計画が出された。「特別なニーズのある子どもたちが、分離教育ではなく必要な支援や補助器具を使い普通クラスで学ぶ」というもので、特別支援クラスがなくなった。すると学級でうまくいかず不登校になったり精神的な安全性が確保できない状況がうまれ、特別クラスを再開したのだそう。
TeamVの役割
生徒の発達・学びと心理的安全性を確保しつつ、人生に価値があると感じられるようにする。
将来を見据える+今の2つの視点を見て生徒と関わる。
子どもの学校での学びを支えるチーム体制
授業にはteacherとペタゴー(さやかさんは社会生活指導員と訳す)がいる。
”network meeting”という会議:常勤の作業療法士、心理士、理学療法士が常駐している。週1回子どもを立体的に見ることができるように話し合える時間をつくっている。それぞれその領域の専門家として専門用語・専門知識をもとに子どものことを見たてていく。
保護者との関係性については、デンマークの教育基本法の中に “保護者との協力のもと”が先頭にきている文がある。保護者は子どもの成長発達という一大プロジェクトに関わる協働パートナーの一員として捉え協働している。
保護者とのミーティングは年2回。春は主に先生側が1年間通してどんな時間にしたいかを話し、秋には保護者から最近の子どもの様子を聞く時間になることが多い。
Teacherとペタゴーの役割分担
授業・学級には教員と同じ数のペタゴーとよばれる専門職のスタッフが配置されている。ペタゴーについて「ユースワークとしての若者支援ー場をつくる・場を描く」という本の「ソーシャルペタゴジーーユースワークの概念的実践的基盤」に書かれていたので引用する。
Team Vでのペタゴーと教師の役割分担は、生徒の支援計画を例にすると、生徒の学習面においてはteacherが、ADLやsocialの部分はペタゴーが担当する、ようなものなのだそう。学童にもペタゴーはいるので、学校ではこれを目標にしてこんな時間を過ごしているから学童ではこんな時間を過ごしてほしい、といった役割分担がペタゴーがいるからこそできるのだそう。