悪魔の国の破壊
●悪魔の国の破壊
人類の堕落以来、悪魔は自らの王国を確立するために休むことなく暗躍してきました。そして神は、悪魔に対抗しつつも、完全に悪魔の国を破壊することはありませんでした。しかし患難期に入ると、神は悪魔の国を厳しく裁くようになります。特に後半の3年半に悪魔の国に下る裁きの厳しさは、未曽有のものとなります。
黙示録12章7~12節には、ミカエルとその御使いたちが竜(悪魔)と天で戦うことが預言されています。この戦いの結果、悪魔は天から落とされ、地上に住むようになります(7~9節)。悪魔が地に投げ落とされたので、天に喜びが起こりますが(10~12節)、地上には災いが来ます。悪魔が怒って地に下ったからです。悪魔の怒りは残り3年半の間に燃え上がります。かくして悪魔と悪魔の国は、地上の空間に閉じ込められ、キリストとの最終的な戦いに突入することになります。
患難期の後半、地に落とされた悪魔はユダヤ人を抹殺しようとそれまで以上に必死になり、世界大の反ユダヤ主義の戦いを展開します。ユダヤ人を抹殺すれば、キリストの再臨は成就しなくなるからです。悪魔はユダヤ人を抹殺するための方法として、反キリストと偽預言者を用います。
悪魔と反キリストの試みは、どこまで成功するのでしょうか?ホロコーストでは世界のユダヤ人人口の3分の1が死にました。患難期では3分の2のユダヤ人が死にます。患難期では、ユダヤ人の歴史の中で最も激しい迫害が起きます。
●諸国の軍勢の招集
患難期における悪魔の第4のゴールは、ハルマゲドン(メギドの丘)に諸国の軍勢を招集することです。悪魔はキリストの再臨が近いことをよく知っています。キリストが再臨したら、エルサレムを首都とした神の国が樹立されます。それを阻止するためには、世界中の軍隊の協力が必要です。この戦いは、悪魔の最後の悪あがきです(詩篇2:1、黙示録19:19)。
諸国の軍勢をハルマゲドンに招集するのは、患難期における神の第3のゴールです。神は悪魔との最終戦争の準備をしておられます。
「第六の者が、その鉢を大ユウフラテ川に傾けた。すると、その水は、日の出る方から来る王たちに対し道を備えるために、かれてしまった。」(黙示録16:12)。
ユーフラテス川の源流は、トルコ北東部の山地です。途中シリアを通過し、イラクでチグリス川と合流してペルシア湾に注ぎます。古代都市ウルやバビロンは、この川のほとりにありました。この川は、古代ローマ帝国の東の境界線になっていました。さらに聖書預言では、約束の地の東の境界線となっています。
この川が涸れたので、反キリストの軍勢が侵攻してくることが可能になります。つまり、ユダヤ人を抹殺するための戦いが始まろうとしている、ということです。彼らは、キリストの再臨を妨害するためにユダヤ人を滅ぼそうとします。「日の出る方から来る王たち」とは、字義通りに読めば、「東の方から来る王たち」です。聖書が「東」という場合は、極東(中国)ではなく、メソポタミアを指します。東の国々の王たちが、川が枯渇するという奇跡に助けられて進軍してくるのですが、その背後には神の導きがあります。
●イスラエルの悔い改め
キリストの再臨の前提条件は、ユダヤ人の民族的救いです。より詳細には、
① イスラエルによる国家的罪の告白と、
② イスラエルの懇願(再臨を求める祈り)です(レビ26:39~42、エレミヤ3:12~18)。
イスラエルの国家的罪とは、イエスのメシア性を拒否したことです。この罪が告白されない限り、イエスの再臨は起きません(ホセ5:15)。
キリストの再臨が成就するためには、イスラエルの懇願も必須条件となります(ゼカ12:10)。ハルマゲドンの戦いの終わりの段階で、ユダヤ人の指導者たちは、何が問題であるかを発見します。その問題とは、イエスのメシア性を拒否したことです。そこで、ユダヤ人の指導者たちは、イエスのメシア性を受け入れるように民を導きます(ホセ6:1~3)。ユダヤ人の指導者たちによる布告が出されてから、ハルマゲドンの戦いの最後の3日間が始まります。最初の2日間で、イスラエルは国家的罪を告白し、そして3日目にイスラエルは救われます。
イザヤ書66章8節は、イスラエルは1日で救われると預言しています。また、ローマ人への手紙11章26節は、イスラエルは皆救われると預言しています。回心したイスラエルは、キリストの再臨を懇願します(イザ64、詩編79、80)。そしてキリストは、彼らの願いに応えて戻って来られます。