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ノンミュールジングウールのお話
goenのウールニットは、ノンミュールジングウール100%の糸を使用しています。聞き慣れないノンミュールジングウールとは、「ミュールジングをしていないウール」ということ。では「ミュールジング」とは何か、それは羊の臀部が土や糞で汚れたり、ウジ虫が湧くのを防ぐために、羊の臀部の皮や肉を切り落とす行為です。
麻酔もせず、その後の手当てや処置もされません。手間を省くため、生産効率のために行われます。
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そう、そんな残酷なことをする理由は、生産効率のためです。刈り取ってから汚れた毛を選別するより、最初から毛が汚れないように、臀部の皮膚を切り落としておく。ニュージーランドでは廃止されていますが、羊毛生産量世界一のオーストラリアでは、未だに行われています。
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現代では、「生産効率」「コスパ」「タイパ」なんかが、さも一番大切なことのように扱われています。「価格」と「時間」と「手間」を天秤にかけて、何を重視するかを考え、ベストな方法を選択する。安価で、早くて、手間が少ない選択肢があるとしたら、それはとても魅力的に写るでしょう。でも、もしその背景に、臀部を切り取られる羊のように、大きな犠牲が隠れているのだとしたら、その選択肢を選ぶでしょうか。自分には関係ないことと、割り切ってしまうのでしょうか。
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私はビーガンではないし、お肉もお魚も大好き。だから私も、動物に対しての残酷な行為に加担する一員なのかもしれない。現代社会の、豊かな経済活動の恩恵を受けておきながら、臀部を切り取られる羊がかわいそう!なんて言うのは、偽善なのかもしれない。でも、知ってしまった以上、私はこっちを選びたい。
ひとりひとりが、それぞれの価値観で、「こっちよりはこっちの方が良いな」と思える選択が出来たなら、少しずつでも、きっと世界はやさしく、美しくなっていく。世界は円のように循環していて、今日の自分がした選択は、きっといつか自分に返ってくる。まるでニットを作るように、ひとつひとつの目を丁寧に編み上げていけば、やがては美しい全体が姿をあらわすと、私はそう信じています。