二日月 2020 winter collection
始まりを予感させる月
冬の澄んだ空気の中
目を凝らせば見えてくる、今まで見えなかったもの
変化変容の時代だからこそ
今まで見えなかったものに目を凝らしてみる
自分の中の本物を探してみる
自分を本物で満たしてみる
身体をやさしく包み込む
やわらかなノンミュールジングウールを100%使用
空気も一緒に編み込んだ
暖かな冬のニットをお届けします
今に続くコレクションの形が作られたのが、この2回目からです。
コレクションテーマには、基本的に私が好きなもの、好きな言葉を選んでいます。
前回に引き続き、コロナ禍という影響が大きかったので、
「一度立ち止まった今だからこそ、大切なものを見つめ直してみよう」
というメッセージを、普段は気に留めないような、三日月よりも細い月になぞらえてみました。
2回目のコレクションなので、「二日目の月」というのもぴったりだなと。
この時は「本物」というものについて、よく考えていました。
本物ってなんだろう、と。
goenを始めたこともですが、旅に出たり、本を読んだり、人と話したり。
私が何かをする理由すべて、「本物が知りたいから」という動機がある気がします。
私にとって、何が本物なんだろう、と。
「本物」の対義語は「偽物」だと思いますが、「本物ではないもの」という意味で私が思い浮かべるのは「代用品」です。
本当はこれが欲しいけど、高価だから安値な代用品でいいや。
素敵だけど手入れが大変そうだから、手軽な代用品でいいや。
美味しいものが食べたいけど、作るのが面倒だから簡単なものでいいや。
行ってみたい場所があるけど、遠くて大変だからスマホで見ればいいや。
こんな風に自分をごまかして、代用品を選ぶことがどれほどあるでしょう。
この時はコロナ禍真っ只中で、代用品を選ばざるを得ない状況がありました。
しかしそれは、自分をごまかすためではなく、社会のため、誰かのために、辛抱して、何とか代わりになる方法を見つけて、この状況を乗り切ろうとしていたと思います。
だからこそ、満たせないものがあるからこそ、普段は聞こえない自分の心の声が聞こえて、本物に目を向けやすい時だと思いました。
自分を本物で満たす、充足感を知るチャンスなのではないかと。
今でも、全てが満足のいく決断をしているかと言われれば、まだまだなところもたくさんあります。
しかし、今もこの時も、シンプルに、自分が良いと思う選択をしていこうと心がけて、モノづくりをしています。