影響を受けて、いまここに居る
ずっと行きたかった、せんだいメディアテークで開催中の「⻘野⽂昭 ものの, ねむり, 越路⼭, こえ」を見に行ってきました。
仙台の街中は今日この冬初の吹雪で。
白い視界のなかメディアテークにたどり着いて見た展示はまるでこの世とは別の世界に来てしまったと錯覚するような凄まじいものでした。
青野文昭さんの修復を基にした作品群は、
物事の何もかもの境目を曖昧にして繋いでいく
忘れられた残骸と芸術作品、現世と夢、過去と未来、記憶と記録、生きているものと死んでいるもの…
まるで祈りのようでもあり、呪術のようでもある沢山の作品群のそこら中にあいまいな人影があって、ぞくりとする瞬間が沢山あった
忘れられたもの、壊れてしまったものを丁寧にのばして、直して、元の形に近づけるというその尊さと狂気
展示を見ながら幻肢痛、という言葉を思い出しました
幻肢痛(げんしつう、英: Phantom Pain)
四肢を切断した患者のあるはずもない手や足が痛みだす。例えば足を切断したにもかかわらず、爪先に痛みを感じるといった状態を指す。あるはずのない手の先端があるように感じる、すなわち幻肢の派生症状である。
ーWikipediaより
素晴らしい作品というのは、見た人の価値観に影響を与えて、知る前の自分には戻れなくさせるものだと思う。
そういった点で、青野文昭さんの作品は紛れもなく、名作であると思います。
メディアテークの近代的な建築との相性も個人的には良かったと思います。
記憶の世界と現実世界がごちゃ混ぜになっているような感じで…
メディアテークを出る頃には、雪が止んでいました。現実に戻ってきたな、とふと思いました。
帰りにチェンソーマンの新刊を買って帰ったのですが、そこで出てきたセリフが今日の展示を見た後だととても沁みました。
「私も十本に一本くらいしか面白い映画には出会えないよ」
「でもその一本に人生を変えられたことがあるんだ」
チェンソーマン 第39話「きっと泣く」台詞一部
展示は1月12日までやっているので、まだ行かれてない方は是非行ってみて下さい。
⻘野⽂昭 ものの, ねむり, 越路⼭, こえ
「なおす」ことを主題に、家具や日用品 などを用いながら廃棄物の欠損箇所を補完することで、新たな形態を生みだしている美術作家 青野文昭。長く仙台で活動してきた青野のこれまでの作品とともに、震災以後の表現の変化もふまえた、新たな展望を紹介します。
■ 会期:2019年11月2日(土)から2020年1月12日(日)
■ 公開時間:11時から20時(入場は19:30まで) *11月28日は休館、12月29日から1月3日は年末年始休館
■ 会場:せんだいメディアテーク 6階ギャラリー4200
■ 入場料:一般500円(大学生・専門学校生含む)、高校生以下無料(豊齢カードをお持ちの方は半額、障害者手帳をお持ちの方とその付き添いの方1名まで半額)